📖 創作･携帯小説

短編というかＳＳに近い短いものを書きます。なので基本的に一話完結で続きません。
サイトのネタ帳であり小説に昇華しきれなかったゴミ箱。
病んでいる場合がある。裏行為に及ぶ場合がある。頭おかしかったり変態的だったりする。ＢＬ含む。オリジナルと二次創作ごちゃ混ぜ。拙い文章。

色々注意点が多くありますがお願いします。

　少年のような顔で笑う人だなあ。へらり、と。それが彼の第一印象だった。
　上司相手にでも物怖じせず、寧ろ調子の良い軽口を叩けるほど肝が据わっている。かといって無分別でデリカシーのない非常識な人というわけではない。やっていいことと悪いことというものを理解している。
　同じ部署に配属された二つ年下の高尾くんという人は物事の線引きを上手く出来る人なのだ。本当に器用な人だと思う。それが第二印象。印象の話ばかりしているのは、私が彼と接する機会がないからである。どれもこれも直接関わったわけではなく、彼の振舞いや仕事ぶりを普段から見ている内に彼という人間について受けた感想だ。
　つまるところ結局、私は高尾くんのことを何ひとつ知らない。

（知らないのにどうして目で追っかけちゃうかなあ…）

　真っ赤な夕焼けは彼の髪色に似ているから嫌いじゃなかった。
　何がどうしてこうなったのか。自分でもことの発端はよく覚えていないのだが、放課後の屋上で私は夕日そっくりの赤い髪をしたその彼に膝枕をしてあげていた。
　もう随分とこの光景は習慣になりつつあり、慣れてしまった私は手持ち無沙汰を埋めるために何となしに自分の膝の上にいる猫のような赤司くんの髪を撫でるのが癖になった。
　斜陽が反射してきらきらと光る赤髪が、橙に溶けて綺麗だ。髪に指を通らせると瞬く間にさらさらと滑り落ちる。

「男のくせに相変わらず羨ましい髪質だよね」
「それは褒められてるのか、いまいち反応に困るな」

　小さく笑う気配がした。呆れられたのだろうか。ちらりと彼の横顔を盗み見ると赤司くんは瞼を閉じていた。ふさふさ揺れる睫毛の房が色っぽい。一見眠っているようにも見えるけれど僅かに緩んだ口角が彼の意識があることを伝えてくれる。
　赤司くんは他人に触られることが極端に嫌いらしい。以前不愉快にすら感じると言っていた。そして私は他人に触れることなんか滅多にしない。人間の体温というものにどうしてか嫌悪感を覚えてしまうからだ。けれど赤司くんだけは、どうしてか触れる。自発的に触れたいとすら思う。

　どうして私は赤司くんに触れたいと思うの？　どうして赤司くんは私が触れても平気なの？
　そんな難儀に思える問題の正解すらその内見つかるのだろう、あなたと二人でなら。

「壁を作っていたのは俺じゃない。俺はずっと、必死で、叫んでたよ」

　普段の茶目っ気ある態度からは想像も出来ないような、存外鋭い声が飛んできた。いつもの少し崩したような敬語ではなく標準語なのはそれだけ彼が真剣なのだということを現していた。
　…駄目だと思った。逃げられないと。彼に向き合わなくてはならない事態まで辿り着いてしまったのだと。

　私はただ離れてしまうのが怖かったのだ。例えば黄瀬くんが私を苗字ではなく下の名前で呼ぶようになったとか、そんな些細な変化ですら怖かった。私はいつだって見て見ぬふりをしてきた。単調な話、傷つきたくなかった。ただそれが、黄瀬くんを傷付けているなんて考えもしなかった。
　けれど私はお友達という関係から進化も退化も望んではいないのだ。だってくっついてしまえば、始まってしまえば、いつか終末は必ず訪れる。それならしあわせなんか知らなくていい。欲しくなんかない。今のまま、そのまま。

「俺のこと嫌いなんスか？」
「好きだよ、大好きだよ」
「じゃあなんで…」
「好きだから友達がいいの」

　その言葉はあまりにも利己的すぎてきっと目の前の彼には理解不能だっただろう。
　けれど黄瀬くんはそれ以上何も言わず、それからくしゃりと眦を歪ませた。きっとそれは彼なりに笑っていた。笑顔を作った。彼は最後に無理をして笑ってくれたのだ。痛々しいその表情から私は悟る。きっともう、友達ですらいられない。手放したのはいつだって私の方からだった。

　じりじりと焦げるアスファルトと草木が混ざったような特有の、夏の匂いが鼻梁をつんざく。その度に私は八月を肌で感じる。いつもなら憎らしく思う容赦のない太陽の光彩すら、この瞬間だけ特別なものに思えて私は込み上げる愛おしさに両頬を緩ませた。嗚呼、やっぱり夏はすきだなあ。部活の買い出しで外に出るのも大して鬱屈じゃないのだから。

「なんだか楽しそうですね」

　ふふ、と隣りを歩く黒子くんが上品に笑う。男の子のくせに妬ましい綺麗に崩さず笑えるひとだ。といっても普段は基本的に顔の筋肉を動かすことの少ない彼の、こんな色付いた表情が見れるのはごく一部の親しい人間だけだろう。それにしても珍しいこともあるものだと目を丸くすると黒子くんはどうやら私の心情を汲み取ったようで「僕だって笑うくらいします」と少しむきになったように答えた。やっぱり少し珍しい。

「でも黒子くんは夏でも涼しそうだね。羨ましいよ」
「よく言われますがそんなことはないです。僕は別に低体温ってわけでもありませんし」

　そう言うわりに相変わらず涼しい表情をした黒子くんの横顔はやっぱりとても綺麗で、体温を感じさせなくて、なんていうかとても人工的な造形美を感じた。そんな八月上旬。

次の投稿、裏行為含みます。というか裏行為の描写しかない。裏の描写練習したくて書きましたというくらいの基準。

スクロール進むの御注意ください。ワンクッション置きました。

「…っふ、…！」

　鼻から抜けるような、情けない猫の鳴き声みたいな声が吐く息と共に僅かに漏れた。すると私に跨る怪物のような彼はにやり、嗤った気がした。首筋にあたる息がこそばゆい。武骨な手があられもなく剥き出しになった私の身体を這いずり回る。隅々までなぞったであろう青峰くんの長い指がまだ誰にも触れられたことがないような、恐らく一番熱を持っているであろう部分に辿り着く。ついに、くる。言われる通り少し腰を浮かせて、身構える私に青峰くんは「…もうこんなになってる」と粘膜で濡れた人差し指を見せつけて、意地悪く耳元で囁く。ぞわりと肌が粟立つ。余裕のない私は憎まれ口を叩くことも出来ず、ただ力強く目を瞑って押し殺すように息を飲んだ。

　触れるというよりまさぐられるというような表現が近い、初めての感覚。気持ちいいのか、気持ち悪いのか。いまいち判断に迷うような不思議な感覚に溺れながら、突飛に出てしまいそうな声を抑える。けれどそんな中いつの間にか本数が増え、ばらばらに蠢く青峰くんの指にだけ、無意識に意識がどうしても向けられてしまう。…恥ずかしい。

「もっと力抜け。んで声出せ」
「や、だ、…ん…！」

※書いてる途中冷静さを取り戻して恥ずかしさに悶絶したので強制終了。ＡＶってこうですかわかりません。

　その日はやけに肌寒い一日だった。そういえば天気予報では夕方から初雪が降るかも知れないと言っていたことを思い出す。どうりで誰も近寄らないはずだと、ふたりきりの閑散とした屋上で私と彼は昼食をとっていた。
　普段は学食で済ませてしまうのだが、この間から彼が私の愛妻弁当だかを食べたいと何度もせがんできたから私もついに折れてしまった。多分彼、敦なりの甘えなのだろう。高校受験の控えている私たちはクラスも遠く、昼食の時間以外ではお互いになかなか会う時間など取れてはいなかったのだから。

「ゆかちん」
「んー？」
「それ、すき。ゆかのくせ。俺が名前呼ぶと首傾げてやんの、かーわいい」
「…敦はいっつもそういうけど私からしたら敦のがかわいいよ」

　男にかわいいとか嬉しくねーし。ポッキーを咥えながらそっぽを向く敦は、まるで背丈だけ成長した幼い子供のようでやっぱり可愛いという言葉が酷く似合う。くすりと笑えばまたむっとした顔をされた。どうやら機嫌を損ねてしまったようだ。相変わらずこちらを向いてくれない気怠そうな瞳の彼にぴったり寄り添えば、わしゃわしゃ頭を撫でてやる。それこそまるで小さな子供にするように。しかし彼はその子供扱いを煙たがりはしない。寧ろ嬉しそうに、もっともっととねだる子供のように頭をぐりぐり押し付けてくるのだ。

「ゆかちん、すき。すき。すきだから、俺、」

すきすきと繰り返して言葉の先は飲み込まれた。啄むように唇が重なる。やけにへちゃっとしたキスだった。ついでに甘いお菓子の味がする。それがなんとも敦らしくて、私はこのしあわせを噛み締めた。
　遠くない未来に彼が私から離れて遠い地に行ってしまったとしても、ずっとずうっと、誰よりもふたりの心だけは傍に居られますように。

※この後紫原くんは秋田の高校にいきます。遠距離です。
パンフレットとか偶然見つけちゃって彼女は卒業したら離れちゃうことをなんとなく察してる感じです。
思うけど750文字制限って厳しい。せめて1000文字欲しいです。

頭のわるい子が赤司くんに告白してみた話。３レスくらい使う。

「赤司くんがだいすきだよ！」

　私から君への感情を月並みな言葉でいうなら。

「…少し言わせてもらうがお前は安直で俗っぽい。語彙が少ないというのも問題だな。そう言われて俺はどう反応するのが最良の選択なのかと悩みいつも返答が憚られる」

　長い机に向かい合うように座る彼と私。
　スカートの裾をぎゅうっと握り、息を大きく吸って懸命に吐き出した精一杯の告白は呆気なく散った。

　昼休みの図書館で私は彼に勉強を教えてもらっている。
　というのも前回のテストの成績が酷過ぎて今度のテストで半分はとらないと単位を落としてしまうという過酷な状況に課せられた私は常に首席の座に君臨しておきながら、努力している様子がまるでない天才こと赤司征十郎くんに勉強を教えて欲しいと頼み込んだからである。

　赤司くんは部活の主将も務めているとても多忙な方なので放課後を削ってもらうわけにもいかず、昼休みだけつきっきりになってもらっている。
　それについてはその慈悲に非常に感謝をしたいのだが、しかし言わせてもらいたい。


「ごめんその告白の返事らしきもののことだけれど赤司くんの喋ってる言葉って本当に日本語なの？」

　…溜息をつかれた。
　ついで赤司くんは宝石みたいなふたつのルビー色の瞳をすうっと細める。私は彼のこの癖がすきだったりする。呆れたようにも見えるし何か考えているようにも見える、含みある表情。ずっと見ていたいくらい綺麗で、同い年の男の子に抱くのには相応しくないのだけれど本当に「綺麗」なのだ。

　しかしそれにしても赤司くんの言葉は難しすぎると思う。少なくとも中学生が使う類いではない。私のボキャブラリーが貧相なのは認めるがそれにしても彼の言葉は大人びすぎているのだ。

「…つまり好意にも種類があるということだ。少なくとも好きなどと異性に軽口で言うべきではないだろう。まして俺に向かって使うには不適切に思える」

　不適切って！
　まるですきなこと自体否定されたようでむっとなって私も眦を三角にして言い返す。

「私は友達としてじゃなくて月が綺麗ですねって意味で赤司くんをすきなんだよ！？つまりラビュー！」

　思わず椅子から立ち上がって拳をぐっと握り力説する。
　夏目漱石がアイラブユーを月が綺麗ですねと訳したのは有名な話だ。図書館通いの黒子くんに以前聞いた。
　しかし眼前の彼は意にも介さないようで静かに首を振る。

「お前は違いが分かってないだけさ、その感情の本質は憧憬とかそういうものだろう」
「そんなことないもん！愛してますし！赤司くんの分からずや！すきだっつってんでしょ！認めてよ！」

　その後（一方的に私が）騒いだせいでしばらく図書館へ出入り禁止を食らいました。
　当面の目標は勉強ではなく、赤司くんに私が赤司くんをすきだと認めさせることになりそうです。


※おわれ＼(^o^)／中学時代だから一人称が「俺」な赤司。

個人的に読みにくい( ; _ ; )/~~~

>>14
書き殴りのゴミ箱なので読まれることあんまり考えてなかったです。
これからは改行します。ごめんなさい。アドバイスありがとうございました。

いえいえ（；‾ェ‾）

次の投稿ＢＬです。数レスに渡ります。
生々しい表現等は恐らくないと思われますが御注意ください。

「真ちゃん！」

高校生活というものは案外あっさりと終了してしまうものだと。
気付いたのは、いつだったか。
夢中でボールを追いかけて、ただひたすらバスケに打ち込んだ三年間。
それなりに可愛らしい女の子とよさげな雰囲気になったこともあったが結局大切な青春のすべてを部活に託してきた。

俺も、いつも俺の一歩先を歩く真ちゃんも。


「遅いのだよ高尾」
「わっりい！寝坊した」
「大体お前が誘ったのだろう」
「そんな怒んなって！真ちゃんが観たがってた映画のチケット手に入れたんだからチャラにしてよ」

指定された集合時間から既に十分過ぎようとしている。
真新しい黒のウールコートを纏う真ちゃんはやっぱりいつもと同じように眉間にしわを寄せていた。
白い吐息のせいで冷気に晒された眼鏡が少し曇ってる。
ついでに鼻頭が赤くなっていて真ちゃんはしかめっ面だけれど格好がついていない。

完璧そうに見えて何処か抜けている真ちゃん。
らしいなって思う。

そんでもってああ、もう冬なんだなって思い知らされる。

冬が終わったら次は春がくる。
春がきたら、もう俺も真ちゃんも高校生には戻れない。
すっかり慣れ親しんだ制服だって着れない。
秀徳のユニフォームも、通学で毎日のように真ちゃんを乗せて引いたリアカーも。
全て俺の生活から消えてなくなる。なくなるのだ。

大学が別の真ちゃんとも、お別れだ。

思えばバスケも真ちゃんも、いつの間にかすっかり俺の生活の一部みたいに存在していた。
俺はそのふたつの上で呼吸をしていた。
そう表現してもなんら可笑しくはない。

俺はバスケがすきだった。
刻苦勉励とか苦心惨憺とか血のにじむような努力とか。
熱血系というわけでもないしそういうのは性に合わないと自覚していた俺。
けれどバスケだけは別だった。
バスケが上手くなれるのなら、どんな過酷な練習にも耐えられる。
だって俺が強くなるということはつまり。

なんの躊躇いもなく、後ろめたさもなく。
堂々と真ちゃんの隣りに立てるということだったから。

俺よりずっと才能ある真ちゃん。
十年に一人の一財だとかで天才と称される真ちゃん。
けれど人一倍努力家だって俺は知ってる。
だからなかなか妬むわけにもいかなくて。
それが余計悔しかった。


俺はバスケでもコート上がすきだ。
特別な場所だ。
だってなんの躊躇いもなく、後ろめたさもなく。
堂々と真ちゃんに触れられる。

相変わらずリングに掠る気配すらない精密機械のようなスリーポイント。
真ちゃんはそれを「当然だ」と可愛げもなくいうけれど俺はそんな真ちゃんを「すげえ」って褒めてやる。
頭を撫でてやる。肩をたたいてやる。時に勢いに任せて抱き着いてやる。

その度に真ちゃんはやっぱり顔を顰める。
けれど俺はやめない。
日常生活では必要以上に真ちゃんに触れないって決まりを俺の中で勝手に設けていた。
だからこれくらい、許して欲しいし許されるべきだ。

なんて思ってる俺はきっとどうしようもない人間だろうなあ。

はじめまして。茴(うい)です。
はじめに適当に名付けたハズなのに似たような名前のお部屋になってしまったことをどうしてもお詫び申し上げておきたくてここに来ました。
けして悪意のあるパクリ等ではないのでご安心下さい。
本当にすみません！！
そして、感想なのですが
とてもいいと思います。キャラがちゃんと維持できているし、文章も読みやすいです!
これからも頑張ってください！
私もがんばりまする(•w•)

》茴さん
ご丁寧にどうもありがとう御座います。そして気を遣わせてしまってごめんなさい。
私としては似ているとか特に思いませんでしたし、気にしていなかったのでそちらもお気になさらないでくださいね。
茴さんの更新もお待ちしております(*´▽｀*)

「…どうかしたか？」

普段騒がしいくらい口数の多い俺が、黙り込んでいることを不審に思ったのだろう。
真ちゃんが隣りを歩く俺の顔を覗きこむ。
すると艶のある萌黄色の髪がくしゃっと揺れる。
眼鏡のフレームに隠れていつもは存在を隠している、切れ長の瞳を彩る長い睫毛が露わになる。


「え？もしかして心配とかしてくれちゃったり？してんの？」

正直な話、不意に縮まった距離にどきりとした。
けれどそれを悟られるわけにはいかなくて。
よこしまな感情なんか真ちゃんに気付かれたくない俺は普段通りを装う。
いつものおちゃらけた口調ではぐらかす。

「ただ真ちゃんが相変わらず変なもの持ち歩いてるなーって思っただけ」
「…おは朝の占いのラッキーアイテムなのだよ、今日は金魚鉢だ」
「ぎゃは、まじ神経質だよねえ真ちゃんって！そういうとこ昔からかわんねー！」

腹を抱えて笑う俺。
真ちゃんは拗ねたようにそっぽを向いてしまった。

…やっぱりこの距離感だよなあ。
親友ってだけでもう十分だよ。なあ、俺。

ＢＬきたこれw

>>23
ＢＬいいですよね(*'-'*)！
ノーマルラブには無いものがあるというか…また違った良さがあると思います。同志の方がいてとってもうれしいです。

なんとなく視線の先が定まらなくて、仏頂面な横顔を盗み見る。

真ちゃんは綺麗だ。
瞼を伏せたときの表情なんかは女よりもよっぽど色っぽい。
美しいって言葉を具現化したら、真ちゃんが出来上がった。
なんて言われたら俺は納得してしまうだろう。


「ってかせっかくの休日に男二人って俺ら寂しくねー？」
「…くだらん。それにこういう状況を作り出したのはお前だろう、自業自得だ」
「うっわ真ちゃんつめてー！超ドライ！」
「付き合いきれんのだよ」

わざと冗談っぽく振舞えば呆れたように溜息をつく真ちゃん。
俺はそんな悪態すら愛おしく思う。
思わずにやけそうになる口元を慌てて抑えた。

ねえ真ちゃん。
もし俺が好きって言ったらさ。
真ちゃんのこと、すきですきでたまらないって言ったらさ。

真ちゃんはどんな顔をする？
気持ち悪いって思う？
今みたいに呆れる？
軽蔑する？
決別する？

それとも。
それとも。

優しい真ちゃんのことだから、無理して俺を気遣ってくれる？

でもさ、そんなの。

「真ちゃんはさ」

そんなの、そんなの。
どれも惨めで痛いだけだ。

「しん、ちゃん、は」

————俺のこと、どう思ってる？

ハッと我にかえる。
俺は今何を言おうとした？
何を口走ろうとした？

一刻も早くその場を執り成したいのに。
それなのに。

生憎喉がカラカラに乾いて上手く声が出せない。

「……高尾？」

突然立ち止まった俺に合わせて真ちゃんも足を止めて振り返る。
口を閉ざしたままの俺に真ちゃんは訝しげな視線を送る。

気付いて欲しい。
けれど気付かないで欲しい。
全く相対的な感情がせめぎ合う。

どれが正しい選択なのか分からなくて。
俺の頭の中は途端に真っ白になる。

すきだって伝えたい。
卒業しても大学に行っても俺は真ちゃんと離れたくないから。
けれど気持ちを伝えてしまうことで真ちゃんが俺から離れてしまうが怖い。
俺は真ちゃんから拒絶されることが怖い。
冷ややかな目で見られることが、怖い。

それなら俺はどうすればいい。
傍に居られるのなら、傍に居るためには。

けれどいくら傍に居たいと願ったところで俺も真ちゃんも男だ。
一緒に居るのにも限度がある。

真ちゃんが隣りに居ない日常は遅かれ早かれやってくるだろう。
いつか慣れるだろうか。
きっと慣れてしまうんだろう。
人間は少なからず器用に生きれるように構造されている。
だからすぐに忘れてしまうし、今日という日すらいつか俺は思い出すこともなくなってしまうのかも知れない。

大学に進み、就職先を見つけた俺はもしかしたら女の子を好きになるかも知れない。
真ちゃんよりもずっとずっと好きになれる人に、巡り会えるのかも知れない。
結婚して普通に家庭を持つサラリーマンになるのかも知れない。
もしかしたら、真ちゃんのことすら思い出さなくなる日がくるのかも知れない。

先のことなんか、結局なにひとつ分からない。
確証もない。


ただ間違いなく俺は。
高校生の俺は。
人生で一番輝いてる時代の俺で。

何より真ちゃんがだいすきだったんだ。


「なんでもない！あー、彼女欲しい！ちょう欲しい！！ぜってー作る！」
「…いきなり路上で叫ぶなあほう」

それだけは、胸張って言える。
死んでも、神様の前でだって、言えるよ。

長々と続きましたがこれで終わりです。読み返したらちょっと意味がわからないというか伝わりにくそう。

小説内では「真ちゃん」を連呼しまくっていましたが多分「真ちゃん」って言葉に口には出せない愛を込めていたらいいなっていうのを意識してます。
男の子同士ってそんな簡単に言えないんじゃないかなって思ったので葛藤しまくる話でした。世間的に見ても厳しいし現実を見たら親友って関係が一番落ち着くんじゃないかとかそういうのに悩んであえて好きとは言わない。でもって実は両想いだったりする。
大人になって互いに家庭を持ったら酒の席とかで「そういえば高校時代俺お前が好きだったんだぜ」とか笑い話にしてるといいなあ。

無駄に長文ですいません。お粗末さまでした。

この小説好き(*´ω｀*)

とくに、このBLが...。(沙*･ω･)b

》桐乃さん
ありがとうございます。好きと言って頂けてうれしいです(ハ*)
ＢＬは結構好きな方が多いみたいですね。反応してもらえると今まで以上に頑張れそうです！

赤司くんと幼馴染みのお話。中学時代。

放課後の昇降口。
激しい雨がコンクリートの校舎を荒々しく打ち付ける音が響く。
既に人影はまばらでいそいそとそれぞれの帰路へと向かう姿を尻目に私は重苦しい曇天に向かって吼える。

「絶望した！世界に！全人類に！絶望した！！」
「…普通に傘を忘れて途方に暮れたと言え」

いつの間にか隣りに居た征十郎くんに静かに突っ込まれる。
誰も聞いていないと思って吐き出した盛大な独りごとを拾われて正直ちょっと恥ずかしい。
けれど征十郎くんは私の大切な幼馴染みだ。
ただのクラスメイトに聞かれるよりはいくらかマシに思える。

「そもそも今日は夕方から降水確率100％だっただろう」
「そうなの？」
「お前はいい加減朝天気予報を見る癖をつけろ」

呆れたような声色と伏し目がちな瞳に窘められる。
既に征十郎くんの意識は私に向かっておらず、落とされた視線の先は彼の手元で。
その手には男物の黒い傘が握られていた。

「征十郎くんはやっぱり用意周到だよね」
「当然だ」

あくまで冷静沈着に答えられる。

中学に入って以来、久しぶりに話しかけられたせいでちょっと期待してしまった。
もしかしたら征十郎くんも傘を持っていない仲間なのではないかとか。
そんなうっかりミスを何でも完璧に熟してしまう彼がするわけないのだけれど。

…いいなあ。

傘を広げてこれから帰るのだろう征十郎くんの後ろ姿をぼんやり見つめる。
少しずつ小さくなる背中。
けれど衰えるどころか次第に激しさを増す豪雨。
今日中に止みそうにない雨脚にずぶ濡れの覚悟をしようか検討し始めたその時だった。

「…何をしている。早く帰るぞ」
「へ？」

いつの間にか征十郎くんが振り返っていた。
じいっと意味もなく彼を見つめてしまう。
というかそれはつまり。

「一緒に帰っていいの？」
「どうせ向かう先は同じ方向で手間もないからな」

どうやら入れてもらえるらしい。
征十郎くんの言葉に甘えさせてもらうことにした私は水たまりを飛び越えて傘の下に入る。

「わー！これも家が近所の幼馴染みの特権？」

きゃっきゃとはしゃぐ勢いで隣りを向くと意外と相合傘というものは互いの距離感覚が近いことを知る。
肩が触れそうなくらいぎりぎり。
こうして間近で見ると征十郎くんはやっぱり男の子だ。
骨格がしっかりしているというか、異性を感じさせるというか。
なんだか変に意識してしまって視線を落とす。

なんたって私も思春期でお年頃なのだ。
いくら幼馴染みだろうが性別の前では関係なくて。

そんな私の内心など当然知らない征十郎くんは極めて落ち着いた風貌で答える。


「別に幼馴染みだからとか家が近いとかそういうのは関係ないよ」
「え？」
「例え家が正反対の場所にあろうがお前なら世話をやくってこと」
「えっと…それってどういう…？」

彼の言ってることが分からなくて首を傾げる。
すると征十郎はそれを察してか不意にこちらを覗き込む。
油断していた私と彼の悪戯に縮まる距離。

「それくらい自分で考えろ」

目の前の、意地悪な笑みをした彼が視界いっぱいに映る。
…その表情は反則だ。

おわりです。意外と短かった。
この間中学生で相合傘してる男女を見かけてすごく和みました。かわいいなあいいなあとか思い代理として小説で再現。
法律的にちょっとアウトみたいですが２ケツも夢があります。

むらっとして黒子くんをペロペロする話。変態っぽい。御注意。

ああ、美味しそう！

目の前の獲物にごくりと唾を飲み込む。
肝心のそのひとはこちらのぎらついた視線を意にも介さず、涼しい表情で読書にふけている。
黒子くんはこの一時間ずっとこの調子だ。

せっかくの夏休みも部活で殆ど潰れ
久し振りにお互いの予定が合ったと思えば「借りた本を読んでしまいたいので」と言われてしまい。
仕方なく彼の家にお邪魔することにした私。


しかし先ほどからやることがこれといってない。
暇で暇で仕方ないのだけれど
半ば無理やり彼の部屋に押しかけてきたわけだし構って欲しいなどと我儘を言うのもなんとなく躊躇われた。
何を言うわけでもなく黙黙と本を読む黒子くんを見つめる。
するとだんだん妙な気分になってきた。

ビー玉みたいにきらきら眩い瞳。
きめ細かく柔らかそうな白い肌。
男の子にしては細長く綺麗な手。
小柄な体格。
本一点に向かう真剣な表情。
時折ふわりと香る優しい匂い。

いいなあ。美味しそう。欲しい、なあ。

「……ごめん黒子くん」
「え？」

一言断りをいれて彼の腕を掴む。
けれど突発的なその行動に当然彼が対応できるわけもなく
本がぱさりと音を立てて落ちる。
驚きの色を見せて目を丸くする黒子くん。
やっぱり欲しい。
彼が、欲しい。


「いただきます」

言うや否や掴んだ腕にがじがじと噛みつく。
そんなことをされるなんて流石に予想外だった黒子くんは珍しく取り乱して素っ頓狂な声をあげた。
そしてすぐさま全力で抵抗され、あえなく腕から引き離される。
やっぱり男の子の力には敵わないらしい。

珍しく怖い顔をした彼に正座を促されると、大人しく膝をつき私は萎縮する。

「何故噛みついたりしたんですか」
「…黒子くん見てたら性的欲求が抑えきれなくて？」
「な、に盛ってるんですか！というかこれ、おかしいです！色々間違ってます！」

いつになく厳しく諭される。
そういわれても美味しそうだと思ったのだから仕方ない。
何で叱られているのかもよく分からず不満げに唇を尖らせる私に
黒子くんは先ほどと打って変わりにっこりと笑う。
…あれ、嫌な予感がする。


「欲情っていうのはこういうことをいうんですよ」

それは一瞬。
反応する間もなく押し倒されると不敵な笑みの、男の子の顔をした黒子くんが私の上に跨る。
そして彼はするりとした身のこなしで私の喉元に食らいついた。

おわります。結局ペロペロはできなかった。
本当は男の子の方を喘がせたかったんですけど(落ち着け)ここは男の子らしく逆襲してもらいました。いとわろし。

黒子くんに長いこと片想いしていた女の子が失恋しちゃった話。赤司さん流の慰め方。
それと捏造ですが田舎に住んでいる学生という設定です。また「銀河鉄道の夜」の台詞を一部拝借しています。

「傍に居られるならそれだけでよかった。好きなんて言えなくてもよかった」

その言葉に嘘偽りはない。
なかったはずだ。

それなのになんでだろう。
私は今、今世紀最大の後悔をしている。

帰り道で偶然見てしまったのだ。
大好きなひとが他の女の子と手を繋いで帰る所。
彼も彼女も、同じくらい恥ずかしそうに俯いて。
けれど確かにすごく幸せそうな顔してた。
それはまるで映画のワンシーンでも観ているような。
決定的に突き付けられた現実だった。


「ならこの結末も分かっていたことだろう？」

なんとか線路は通っているという極めて僻地なこの地域では電車なんて一時間に一度通るかどうか。
利用者数自体少なく、私はいつも登下校に使っているが基本的に閑散としている。
今日もこの車両に乗っているのは私と、通路を跨いで真正面に座る同級生の彼だけだ。
そんな静寂した空間であるから一層響く私のすすり泣くような声。
けれど同じ空間を共有するそのひとはそんなのお構いなしだ。
慰めることもなく、同情するでもなく。

ただ彼は平気で傷口を抉るようなことを言う。


「お前が告白をしないで友達という関係に甘えると決めた時点で、黒子に恋人が出来るのはどのみち遅いか早いか時間の問題で既に決まっていた未来だ」

赤い目が私を射竦める。
それは真っ赤な夕焼けのようにも見えるし、鮮血の色にも見える。
恐怖でか涙は引っ込んでいた。

「……私は、彼が幸せならそれでいいって思った。私に彼を幸せにすることなんて出来ないから」

ただそれが。
目の前でしあわせそうな二人を見るのが。
こんなに苦しいことなんて思わなかったんだ。
誤算だった。
そう僅かながら震える息と共に吐き出すと、彼はくつくつと喉を転がして笑った。
全くもってその場に相応しくない嘲笑。
けれどそれを咎める気にならなかったのは少なくとも私は私自身に非があると思っているということだ。
私は振り向いてもらうことを諦めた。
傍に居られるだけで十分と、彼の指摘するように甘えていたのだ。


「“僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなのさいわいのためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない”…さしずめそんなところか？随分な綺麗ごとを言うね」
「その台詞—」

銀河鉄道の夜。
黒子くんが一度だけ勧めてくれた唯一の本だ。
それだけで当時の私には特別なものに思えたから、本の内容だとか台詞までよく覚えている。
赤司くんも、それを知っていたのだろうか。
黒子くんと仲のいい彼なら可笑しくもない。

けれど私は赤司くんの言うような、全てのひとの幸せを願えるほど優しくはない。
だからかぶりを振った。

「あいにく私はそんな博愛主義じゃないの」

私は心の狭い女だ。
今だって悔しくてたまらない。
私の方が彼をすきなのに。
許せないしやるせない。
本当は、本当は。

「相手の女の子におめでとうなんて口が裂けても言えない」

私が黒子くんの隣りを歩きたかった。

気が付くと止まったはずの涙が溢れていた。
手の甲で何度拭って濡らすばかりで止まらない。
悔しくて、苦しくて、辛い。
思い出せば思い出すほどこの恋は苦いだけでちっとも優しくない。

「…ふっぅ…うぅぅ……ひっく…」

私はただ、君がすきなだけなのに。
傍に居たいだけなのに。
すきだって言えなくても構わないから。

なのに。
それなのに。
どうしてそれすら報われてはくれないの？


けれどこれ以上彼の前で醜態を晒したくない私はわんわん泣き叫びたい気持ちをなんとか抑え込む。
そして零れ落ちる涙を半ば無理やり止めようと、ごしごしと強く目をこする。

————けれどどうしてだろう。

泣くのを堪えようとすればするほどしゃくり上げる声は大きくなるばかりで。
そんな私の姿は彼の目から見てどれだけみすぼらしく映ったのだろう。
考えたくもない。

ただ、自分があまりにも情けなくて。
出来ることならこのまま消えてしまいたくなった。

「————ならお前は本当のさいわいとはなんだと思う」

どれだけ時間が経ったのだろう。
もしかしたら降りなければいけない駅は過ぎてしまったかも知れない。
枯れるほど泣いた。
飽きるほど泣いた。
小さな子供のように誰の目も気にせず泣いて、泣いて。

鼻水をすすりながら今頃酷い顔をしているだろう私に赤司くんが初めて自分から喋りかけてきた。
やはり泣いている間も彼は一度たりとも慰撫するような真似をしなかった。
あろうことか私の存在をないもののようにし、堂々と読書に勤しんでいたくらいだ。
背表紙にタイトルが書いてあった。
銀河鉄道の夜。
どうしてこんなときに限って。

…意味わかんないよ。
赤司くんの考えていることが分からない。


「…わからない。だから“どこまでもどこまでも一緒に行こう”と思ったの、だいすきなひとの傍にずっと」

ジョバンニとカンパネルラの約束。
銀河鉄道の中でも一番すきな台詞だ。
気が付けば俯きがちで私はそう答えていた。

正面に座る彼は、今どんな顔をしているのだろう。
なんとなく呆れられているような気がした。

「救いようがないな。それでは本末転倒だろう」

やはり、と言ったらいいのだろうか。
呆れかえったような、つまらなそうにこちらを見る彼になんだか申し訳ない気持ちにすらなる。

赤司くんの言っていることは多分正しい。
言葉というものにはきちんと意味がある。
想いは伝えて初めて形を現してくれる。
私は形作るのが怖かったのだ。
だから逃げた。
そして都合のいい話だが勝手に傷付いている。

けれどそれでも秘めた方がいい恋だってある。
伝えられなくても伝わった恋に劣るなんて思わない。
ただ私は困らせたくないと思った。
すきだから。だいすきだからこそ、困らせたくなかった。
彼はきっと私の気持ちを知ったら困ってしまう。


「赤司くんは絶対叶わない恋なんて知らないでしょう」
「いや」
「……へ？」
「俺も知っているからこそ願っている」

なにを、とは聞けなかった。
だって赤司くんがそのときだけ、とても優しい目をしていたから。
夕焼けのようにも見えるし血の色にも見える。
けれど今だけそれはあたたかいさそりの火のように見えた。


「お前の本当のさいわいをどうしたら見つけてやれるかと、そんなことに頭を悩ませているんだ」

どうして、とは聞けなかった。
だって私はもうその意味を知っていたから。
だから代わりに笑ってみた。
ぐしゃぐしゃの顔だけど、それでも嬉しかったから。


「赤司くんは、不器用すぎるよ」

思いのほか長くなった。おわりです。
一応赤司くんは泣いてる暇があるなら告白しろと背中を押しているつもりなんです。
彼も彼で泣いてる彼女がすきだったりする。けどすきなひとが幸せなら自分は報われなくてもいいやって思ってます。このへんお互い様。赤司さんの発言は自分に向けても言ってるものだったりする。
すきなひとが笑ってくれるなら自分が不幸で構わないってそんなわけないだろ！とか思う。人間の欲望の話でした。
まあこのあとふたりで本当のさいわいを探しに行くんだと思います。

次のお話しも待ってます(・∀・)/

》桐乃さん
がんばります〜。一度ならず二度目までありがとうございます(*^^)

高尾くんのコミュ力が高すぎるという話です。

私は昔から地味で存在を忘れられることなんか日常茶飯事だった。
元々人前に立つことは嫌いで控えめに息してきた。
そのため友達といえる友達も出来なかったが人間関係のいざこざに巻き込まれることもなかった。
小学生の時はそれこそ家に帰って一人泣いたりもしたが、慣れというものは恐ろしい。
傷付くことなんかすっかりなくなってしまった。

存在が薄いということは同様に反感だって買いにくい。
面倒事だって少ない。
ただたまに私の存在に気付いた誰かが「影薄い子だよね」と言う。
周囲の人間はそれに同調するか私をクラスメイトとして認識していなかったかのような口ぶりをする。
しかしそんなことも、私の存在も、一日経てばまたけろっと忘れているのだから滑稽である。
それは別に悲しくはない。
悔しくも、苦しくもない。
もうとっくに諦めていたから。

今はもうその無差別な雑音に心を痛めることはない。
ただ、むかつくだけだった。