正月気分が一気に吹き飛ばされるような恐ろしいニュースが届いた。
南イタリア最大都市ナポリの西側に広がるフレグレイ平野で、マグマから放出されるガスの圧力が臨界状態に達している可能性があると、イタリア国立地球物理学研究所が指摘したのだ。
これは、ジョバンニ・チオディーニ氏らの研究チームが、12月20日付の英科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に発表したもの。
フレグレイ平野は、約3万9000年前の火山噴火で生まれたカルデラ盆地。
このときの噴火は、ヨーロッパにおける過去20万年間で最大規模とみられており、火山灰で覆われた空は太陽光を遮断し、いわゆる「火山の冬」を招いたと推測される。
湾岸線に沿うように、24個もの噴火口が弧を描いて並ぶ様子は、上空の観測衛星からもはっきり見えるフレグレイ平野は、イタリア語で「燃え盛る平原」を意味し、噴気孔から高濃度の硫酸や硫黄の匂いがする蒸気が立ち上る様子は、「地獄への入り口」として恐れられている。
最後に大きな噴火があったのは1538年9月で、このときの噴火は8日間続き、モンテ・ヌォーヴォ丘ができた。
それ以来、500年近く沈黙を続けているが、イタリア国立地球物理研究所の調査で、地下のマグマから放出されるガスの圧力が、いつ噴火してもおかしくない臨界状態に達している可能性があることがわかった。
地下に溜まったガス圧が臨界点に近づくと、揮発性ガスに含まれる水分が多くなる。
このガスが、マグマを覆う熱水系に注入されると、温度の上昇と膨張が起こり、それが加速的に変化を引き起こし、噴火につながるという。
実際、フレグレイ平野は1950年代以降、火山活動が活発化している。
1982年以降、カルデラ内に位置するポッツォーリの町で、最大110センチの地殻の隆起が観測されたほか、最近では2012年9月に200回を超える群発地震が発生するなど、地下の熱水系が全体的に加熱してきたことを裏付ける現象が報告されている。
チオディーニ氏ら研究チームは、火山活動の再開時期を正確に予測することはできないとしているが、発表を受けてイタリア政府は、噴火の警戒レベルを「平常」から「要警戒」に引き上げている。
【日時】2017年01月03日(火) 06:30
【提供】ハザードラボ