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米航空宇宙局（NASA）の無人探査丘ニュー・ホライズンズ」が最接近した冥王星について、地形の分析を進めていた東京工業大学と東京大学の研究チームは31日、赤道域に広がるクジラのように見える模様は、巨大な天体が衝突した痕跡で、衛星カロンはこの衝突によって生まれたことを突き止めた。

東京工大の玄田英典准教授と東大の関根康人准教授のチームは、探査丘ニュー・ホライズンズ」が2015年8月に冥王星に接近した際にとらえた地表画像に注目。

なかでも、当時話題になったハート型の氷河にキスするようなクジラのように見える褐色地帯「クトゥルフ領域」が形成されたメカニズムについて研究を始めた。

研究チームは、冥王星に巨大天体が衝突した場合、衝突地点の氷が溶けて温水の海ができ、それが元からあった物質と化学反応を起こして褐色の有機物ができたと仮説を立てた。

そして仮説立証のために、ホルムアルデヒドとアンモニアを含む水溶液を加熱して、冥王星の地表の温度変化を再現する実験を行った。

50℃で4カ月間加熱を続けた結果、クトゥルフ領域と同じ褐色の有機物を作り出すことに成功したという。

最新の研究理論では、太陽系では20個以上の惑星同士が衝突して、地球と月のように衛星を持つ天体を形成したと考えられている。

このことを踏まえて、研究チームは、冥王星と衛星カロンについても、巨大天体の衝突によって形成された可能性が高いと指摘している。

なおこの研究成果は、英科学誌『ネイチャー・アストロノミー』に論文が掲載された。