梅雨の季節によく現れるカタツムリは、日本では童謡や夏の季語としてもお馴染みの存在。
一般的なカタツムリの多くが、右巻きの殻を持っているのに対し、英国では、「100万匹に1匹の確率で見つかる」という珍しい左巻きの殻を持つ「ジェレミー」に注目が集まっている。
米国『ワシントンポスト』や『TIME』でも取り上げられた人気者のカタツムリは、英ノッティンガム大学生命科学研究科のアンガス・デビッドソン准教授が飼育していて、専用のツイッターアカウント「leftysnail(左利きのカタツムリ)」も持っている。
一般的にカタツムリは、渦の中心からどちら回りに殻が成長するか遺伝によって決められており、ほとんどは右巻きだ。
螺旋の向きは、体の構造と一致しており、右巻きの個体では生殖器も右側にある。
カタツムリの交尾は、対面しながらすれ違うように生殖器を合わせるように行うため、殻の巻き方が逆同士では交尾が難しく、ジェレミーはこれまで10カ月近く、恋の相手に恵まれなかったことから「ロンリー・カタツムリ」の名前で英国中が注目していた。
昨年10月、デビッドソン准教授がお見合い相手を探そうと専用ツイッターで、ジェレミーと同じ「左巻きのカタツムリ」を募集したところ、エスカルゴとして調理される寸前の1匹(トメウ)と、飼育家が飼っていたレフティという恋人候補が見つかった。
ジェレミーとお見合い相手の2匹は、デビッドソン准教授の大学の実験室で3カ月間の冬眠期間を過ごしたのち、今年に入ってお見合いを断行。
ところがジェレミーは見向きもされず、ほかの2匹がデキてしまった。
5月初めには卵から晴れて170匹以上の赤ちゃんが誕生。
カタツムリは雌雄同体なので、レフティとトメウはどちらも父と母の役割を果たすことができるが、なんとジェレミーも自分の子供ではない赤ちゃんたちの世話をいそいそと焼いているという。
デビッドソン准教授は今回生まれた新世代の中に、ジェレミーのお嫁さん候補がいるのではないかと期待したが、残念なことに今のところすべての赤ちゃんの殻が右巻きだという。
身近な生物のカタツムリだが、生態はそれほど詳しく解明されておらず、寿命がどのくらいあるかもよくわかっていない。
果たしてジェレミーは、恋のお相手を見つけられるのだろうか?デビッドソン准教授の心配のタネはこれからも尽きない。
【日時】2017年06月13日(火) 18:09
【提供】ハザードラボ