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白河工場に来てみると、そこには改善の必要な状況が見られた。部下に嫌われることを恐れ、波風を立てることができなかったこれまでの自分だったら、到底斬り込むことなどできなかっただろう難題だった。
「大きくいえば、工場の風土の問題ですかね。長い年月の中で当たり前になってしまった習慣みたいなものです。これを壊さなければ、いつか深刻な問題に発展しかねない。そこに気づいてしまった以上、見て見ぬふりは絶対にできない」
元上は強い気持ちで現状の変革に取り組んだ。
一般の人はタイヤというと、同じ形の物を作るのだから割と簡単にできるものだと思うかもしれない。しかし実際は、高品質な製品にしようとすればするほど、その製造にはゴム製品特有のさまざまな困難がつきまとい、素人にはうかがい知れない非常に繊細な作業を要するものなのだ。元上は言う