東京都は2021年7月16日、自動運転サービスの早期事業化に向けて、西新宿と臨海副都心の両エリアで実施する実証プロジェクトの内容を発表した。
西新宿エリアでは、京王電鉄バス(東京都府中市)を実施者とする「都心部特有の自動走行困難な営業ルートでの自動運転バス運行実証」と、大成建設を実施者とする「まちのインフラと協調した自動運転サービスの運行実証」の2つのプロジェクトを実施する。実施時期はいずれも2021年11月から2022年1月までの2~3週間程度で、どちらも実施者に加えて複数の企業がプロジェクトに参加する。
このうち京王電鉄バスのプロジェクトは、日野自動車の日野ポンチョロング2ドアモデルをベースに、GNSS(衛星測位システム)、LiDARのスキャンマッチング機能や白線・縁石認識機能を搭載した自動運転バスを、新宿駅西口~都庁~議会議事堂~新宿駅西口で運行させる。その際、車外カメラ画像や各種センサーの大容量データを5G(第5世代移動通信システム)で送信して遠隔地からの監視に活用したり、将来の運賃収受システムのために顔認証情報を同じく5Gで送受信したりする。
大成建設のプロジェクトは、トヨタ自動車のタクシー専用車両「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」をベースとする自動運転タクシーを、新宿駅西口~都庁~新宿駅西口で運行させる。こちらは、信号、路側センサー、トンネルなどの「街のインフラ」と自動運転との協調による自動運転の高度化を目的としており、信号や道路に設置したセンサーからの情報を5Gで送信して走行支援に役立てたり、GPS(全地球測位システム)が使えないトンネルの壁面を車両が認識しやすいように改良して、自車位置推定の精度を向上させたりする。
臨海副都心エリアでは、Mobility Technologies(東京都千代田区)を実施者とする「自動運転車両を活用した臨海副都心エリアにおける新たなモビリティサービスの実証」を実施する。実施期間は2021年11~12月にかけて2週間程度。国産の自動運転車両を使用し、自動運転レベル2相当で臨海副都心エリアのシンボルプロムナード公園内を運行させて自動運転による回遊性の向上や賑わい創出など地域課題解決の可能性などを検証する。