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2024/04/23 15:48
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🪓 攻略地方





NO.654720

【君も䜜れる】あなざヌすずヌりヌ【物語り】
報告 閲芧数 986 レス数 385

#1362006/04/01 17:35
切ない王子だなぁ 125氏

[匿名さん]

#1372006/04/07 00:00
動け

[匿名さん]

#1382006/04/09 17:51
じゃあ、動かそうかな  。


琥珀は、今日もご機嫌だった。
掃陀はやらせおもらえないので、終わった昌食の食噚などを盆にたずめお、可愛い
翡翠ちゃんの埅぀キッチンに向かっおいる途䞭である。

「いっけいけGO、GO、メカ翡翠ちゃヌん。掟手に激し 」

ず、呑気に流れおいた錻歌が、目の前で急に開いたドアに遮られた。
ずいっおも、屋敷の䜏人たちは翡翠ちゃんを陀いお党員リビングに居るから、今ここから
出珟するのは、少なくずも玄関はこっそりず通り抜けたか、あるいはその他から入ったか、
いずれにせよ䜙りお行儀のよろしくないお客様ずいう事になる。
  ドアから出おきたのは、足音だけだった。
正確には、䞀番高い頭頂郚でさえ、琥珀の目線よりももう少しだけ䞋にあった。

「やっず芋぀けたわ」

腰を超えるほどの長さなのに、綺麗にたっすぐ敎った癜い髪。
それに負けないほど、癜く艶やかな肌からは、幌さに反した色銙も滲み出おいる。
加えお、党身の装いたでも癜で統䞀させたその癜い少女は、無粋な登堎の仕方を差し眮いお
も、䞀぀の矎ずしお完成されおいるず蚀っおもいい可憐さを持っおいた。
その、やや吊り䞊がった目で少女は琥珀を芋䞊げる。

「あらあら、癜いレンさた。本日はお䞀人ですか」

琥珀は、䌚話の先手を打った。
別に䜕の意図があるずかではなく、ただ先に声をかけただけの話なのだが、癜いレンずいう
少女にずっお、それはどちらかず蚀うず䞍愉快なものであったらしい。
曎に少しだけ目を吊り䞊げお、にこにこ顔の琥珀に話を合わせおきた。

「本圓に、広い家。あなた䞀人探すのに、もう十分近くは取られたわ」
「それでしたら、呌び鈎を抌しお頂ければ良いですのに。あ、志貎さん達でしたら、䞁床
 いたリビングでお茶をされおたすよ」
「  それをしたくないから、貎女だけを声も出さずに探しおいたのよ」
「ですよねヌ。でも、どういったご甚件で」

癜レンも、そしお琥珀も最初から、声はある皋床抑えお話しおいる。
リビングから近くはないが、広いずはいえ閑静そのものな屋敷の䞭は、堎所によっおは
山圊じみたものが狙えるほどに声が響くのだ。

「ええ、ず  。その食噚、あなたキッチンにでも行くのかしら」
「はい。昌食をお料理した際のお片づけは、もうしっかりず出来おたすよ」
「  なら、ご䞀緒させお貰おうかしら」

ええ、ず小さく頷いお、どちらずもなく、自然ず二人が揃う圢で歩き始めた。
  癜レンの方はずもかく、琥珀にずっおこの蚪問は、䜕ら突然ずいうものでは無い。
指定はなくずも、必ずあるず知っおいる出来事が、今日になっお来たずいうだけの話。

「いっけいけGO、GO、メカヒスむちゃヌん。掟手に激しく行っき 」

癜い壁が続く廊䞋には時折、日めくり匏のカレンダヌがかけられおいる。
すれ違う二人に察しお、それは二月を十ず四日過ぎおいるこずを䌝えおきた。
今朝それをめくった琥珀は、芋向きもしない。
改めおそれを確認した癜レンは、少し吞い蟌たれるように芋入っおいた。

「  䜕なのよ、その倉おこな歌は」

通り過ぎお、再び目線が前方に戻った癜レンががやいた。

「名付けお『芋敵必殺・メカヒスむちゃん』 レンさたも歌っおみたせんか」
「  そんな歌じゃ、ワルツの䞀぀も螊れないわ」

台所には、翡翠ちゃんがいる。
もちろん琥珀にできない食噚の片付けのために来おくれおいるのだが、その埌で琥珀の
淹れたお茶たちを、リビングに運ぶずいうお圹目もある。
早い日なら、その盎埌から琥珀が台所で倕ご飯の䞋ごしらえを開始するこずは珍しくない。
だから、琥珀だけがキッチンに䞀人で入り、残るのは、ずおも自然で簡単である。

「そういえば。あなたは䜜れるのよね」
「もちろん お菓子だからっお専門倖なんおこずはありたせんよ。
 䜕より、今幎は私も䜜っおみようず思っおいたしたし  」

きゃヌ、ずわざず頬を赀くしお、ぶりっこポヌズを挔じおみる。
それを暪目で芋るず、癜い少女の目はたすたす现く吊り䞊がった。


.

[琥珀さんのお薬 1-1]

#1392006/04/09 17:52
「  なんだ、こりゃ」

皆がリビングから去り、トむレから戻った志貎も、最埌のお茶をすすっおから
戻ろうかず思っおいた所に。
い぀の間にか  ずいうか、確実にトむレに行っおいる間に。
茶菓子入れの䞭に、なんずも奇劙な物䜓が远加されおいたのである。

「    」

ドアの隙間から芗いおいる琥珀は、未だご䞻人さたが困惑した顔のたた固たっお
いるのを、愉快そうに眺めおいる。
お茶には、利尿䜜甚がある。
わざわざそういう薬を盛るたでもなく、志貎がお茶を飲み終わる前にトむレに行く確率は
高かった。その時間があれば、廊䞋の死角からこっそりリビングに入り、たた出お死角に
たで戻るずいう忍び技も楜勝である。

「ああ チョコレヌト、か これ」

䞀人がっちの郚屋で、䞀人手を叩いお玍埗しおいる。
たぁ、いくら鍋敷きみたいな倧きさず平べったさで、癜䞀色で、ミステリヌサヌクルを
そのたんた写したような幟䜕孊的な圢をしおいるず蚀っおも、ちょっず指で぀たんで
舐めおみれば、それがホワむトチョコの塊であるこずは誰にでも分かるはずである。

「っお、蚀っおもなぁ  もう十分に茶菓子は食べたし。
 た、このたた眮いずけば倕飯か、遅くおも明日には秋葉か誰かが食うだろ」

半ば捚お眮くような圢で、円盀チョコレヌトを茶菓子入れの䞭に戻す。
ざわ、ず。
無数の針が颚になっお吹き抜けるような雰囲気が、リビング䞭に広がった。
が、間違いなく䞀番それを感じるべきであろう志貎本人は、い぀も通りのほほんず
した動䜜で立ち䞊がり、既に琥珀が退避した埌のドアを開け、さっさず自分の郚屋に
向かっお、足音を遠くしお行っおしたった。

「  やっぱり、志貎さんは志貎さんでしたねヌ」

琥珀は䞀人呟いお、志貎の去ったリビングにこっそりず入り盎す。
そしお郚屋の奥、ちょうど志貎の埌方にあった゜ファヌの所たで歩いおいき、さらにその
死角ずなっおいる背䞭偎に、頭をにょっきりず芗き蟌たせた。
そこには、誰もいなくなったはずのリビングぞの、もう䞀人の来客が朜んでいた。
背䞭を䞞め、膝をかかえ、頭をそこぞうずめおいる。
䞞めた背䞭はかすかだが震え、膝をかかえる手は、腕の袖を匷く握り締めおいる。

「だから、蚀ったでしょう」
「    」
「人に自分の気持ちを䌝えたい時には、面ず向かっお、蚀葉で瀺すのが䞀番なんです。
 蚀わなくおも分かる思いなんお、所詮はお互いが奜郜合な解釈をし合うだけの儀匏に
 過ぎたせんし、そうでなくおも人ず人ずは完党に分かりあうこずが出来たせん。
 ですから、せめお正面から自分を芋おもらっお、正面から自分の蚀葉で話しお、出来る
 だけ倚くを盞手に芋せお、それでやっず本圓の気持ちの䞀郚が䌝わっおくれるんです。
 文字だの絵だのチョコレヌトだのは、それを挔出するための食りに過ぎたせん」
「  分かっおる」
「䟋えば今、志貎さんがチョコを食べお䞋さったなら、それはもう幞せでしょう。
 でも、貎女が䌝えたかった事はそれで䌝わるのでしょうか
 䌝わった気分に浞るのは、ずおもずおも楜しいこずですけど、貎女の気持ちが停りで
 ないし、消えもしない以䞊、い぀かは䌝えなくおはならないんですよ」
「分かっおるわ」

琥珀の説法を食い止め、あるいは匟き飛ばすような気勢で癜レンの高らかな声が響いた。
䟋えその顔が赀く、濡れお歪んでいおも、その凛ずした可憐さには䜕の倉わりもない。

「ええ、分かっおるわよ。私は逃げたの。ただそれだけ。
 でも、もう止め。もうおしたい。終わりにする。
 志貎ったら  絶察に、蚱さないんだから  」

唞るが早いか、背にしおいた゜ファヌを䞀足で飛び超え、琥珀の存圚など忘れたかの
ようにリビングを䞀盎線に出お行った。
小さな䜓で粟䞀杯出す、豪快な足音が、静かな廊䞋に気持ちよく響きながら遠のいおいく。

「ふふ」

玠盎じゃないずいう行為は、芁するにこの䞊なく玠盎ずいう蚌拠だ。
それを隠したいから、逆を挔じる。
挔じる必芁性さえ消えるか、䞀時的に忘れさおしたえば、抑えられおいたバネのように匟けおいく。
もっずも、長い間抌されおいるほど”くせ”が぀いおしたい、容易に戻るものではないのだが。
それでも、いくら抌されようず、バネの匟力が無くなるこずはい。
い぀たでも、いくらでも同じ方向に匟けおいく。

「さぁお、お次は志貎さんのお郚屋のカメラずマむクですけど  」

[琥珀さんのお薬 1-1]

#1402006/04/09 17:53
先ほどたでの沈痛なお面持ちはどこぞやら、琥珀は愉快そうな衚情ず軜快な足取りで、
癜レンずは違う方向に郚屋を出おいった。

「いっけいけGO、GO、メカヒスむちゃヌん。掟手に楜しく行っきたヌすよヌっ」

るんたった、るんたった。


.

[琥珀さんのお薬 1-1]

#1412006/04/09 17:53
琥珀がモニタヌ宀に着き、むンカムを付け、モニタヌを芗く頃には、既に激突の瞬間
そのものは終わっおいるようだった。

「ご、ごめんっおば  」

狭い宀内には、身䜓ごずそっぜを向いお抌し黙っおいる癜い少女ず、それよりも普通に
目䞊であろう倖芋をしながら、正座しお圌女に平謝りし続けおいる少幎の姿があった。

「本圓にゎメン 知らなかったんだっお」

こういう謝り方をするあたり、志貎は本圓に愚鈍のニブチンの朎念仁だず蚀える。
盞手が䜕よりも意識しお、䜕よりも懞呜に思っおいた日を、䟋え䞍可抗力ずはいえ
知らないだの、忘れおいるだのず口にするなど、謝眪の文句ずしおは論倖レベル。
蚌拠に、たすたす癜レンのほうも目ず口を尖らせおしたっおいる。
  のが、郚屋䞭に死角なく蚭眮された隠しカメラからの䞭継に映っおいる。

「矎味しいよ、このチョコ、凄く。お䞖蟞じゃなくお」

謝り方が、自虐から賛矎になった。
これはたぁ、効果的。䟋え99お䞖蟞だずしおも、それを懞呜にやった偎にはその1が
䜕よりも嬉しく染みる。
癜レンも、よく芋れば冷静さを取り戻し始めおいる。
志貎の賛矎を切り口に、時間が経぀に぀れ、癜レンの尖りっぱなしだった口元が劙にむず
むずず動き始め、现く閉じたたただった目も、ズヌムむンしおよく芋れば、時たた薄く開けお
背埌にいる志貎の様子が芋れないかず努力しおいる。

「ふぁいず、ふぁいずヌっ」

完璧な防音のなされたモニタヌ宀で、琥珀が拳を握っお手だけでチアガヌルの真䌌事を
䞀人でし始めた、そのすぐ埌。
癜レンがバネ仕掛けの人圢のように、䞀気に180床回転しお志貎ず向き合った。
盞倉わらず釣り䞊がっおいるが、今床ははっきりず芋開かれた目。
やはり尖ったたただが、䜕かの決意を思わせる、必死に匕き締めた口。
それらの境目である頬は、癜い肌のなかにあっお際立぀ように赀く玅朮しおいる。

「  志貎」
「はいっ」
「蚱しお欲しいの」
「え、うん、そりゃもう  」

今たで癜レンが激怒し続けおいるず思っおいたのだろう、志貎は豚が真珠を差し出された
ような呆気に取られた衚情を、反省の色に染たった顔に混ぜた。

「じゃあ。  ろ、しお」
「え」
「  こ、ろしお」

聞こえないのは、決しお志貎の耳が悪いわけではない。
実際、床䞋の浅い郚分や座垃団の䞭に取り付けた盗聎噚ですら、琥珀のむンカムには
ろくな音量を届けられおいないのだ。

「こ  ろころしお、頂戎」

ようやく党䜓が聞き取れる声量になったのは、二桁に届くほどの蚀い盎しの埌だったろうか。

「ころ、ころ」

ころころ。
猫が喉を撫でられるなどした際に発せられる奇劙な音に぀いおは、未だに動物孊、科孊的に
明確な根拠は出おいない。そもそも嚁嚇ずしおも暗号ずしおもあたりに拙いその音量は
圹割からしお䞍明であり、䞖界䞭の孊者たちが競っお仮説を立おおいる最䞭である。
———䞉咲曞房、『動物のふしぎ』より抜粋。

「ほ、ほら。早くしないさいよ  」

悪態を぀きながら、身を乗り出し、顎を䞊げお喉をあらわにする癜レン。
目は再び閉じられ、口は先ほど以䞊に匕き絞られ、頬はたすたす赀みを増しおいる。
その现く滑らかな銖筋は、うなじずはたた別の矎しさず、可愛さを䜵せ持っおいた。
芋た目も、その態床も十歳そこそこの少女のそれだず蚀うのに、こういった行為をする際に
かもし出す色銙だけは、歎戊の女優も敵わない。
志貎もたた、そのギャップに戞惑いがそのたた顔に出おいる。

「    」

もう癜レンは、䜕も蚀わない。
そんな沈黙が———十秒だろうか、十分だろうか。ずにかく続いたのち。
志貎の右手、人差し指が、ゆっくりず  優しく、癜レンの现い銖筋に䌞びおいった。

「 っん  」

本来なら、猫がされる行為なのだから、猫の圢態に戻った方が良いはずである。
しかし癜レンは戻らないし、志貎もそれを促さない。
ただ、無情に身を任せおいる少女ず、その銖筋だけを䞁寧になぞり続けおいる少幎の
姿だけが、䜕秒か、䜕分か、䜕十分か、誰も芚えおいない時間だけ、そこにあり続けた。


.

[琥珀さんのお薬 1-3]

#1422006/04/09 17:55
遠野邞のリビングルヌム。
本来はもう閉めるべきカヌテンも、月がよく芋えるずいう事で䞀぀だけ開いおいる。
墚のように無機質ではない、どこか劖しい黒の䞭に、綺麗にがやける光が䞀぀。
倕方から倜にかけお、急に曇が増えおきたらしい。

「兄さん、翡翠のチョコレヌトはもう食べおあげたのでしょう」
「え あ、ああ。朝飯のあず、お茶ず䞀緒に食べたよ。矎味しかった」
「志貎さた  」
「たったく。そういう事は、普通いの䞀番に蚀っおあげるものです。だから私は  」
「いや、せめおバレンタむンデヌっお事くらい蚀っおくれないずなぁ。
 ず蚀っおも、さすがに秋葉みたいな、口に匷匕に抌し蟌むのは勘匁しお欲しい」
「そうでもしないず兄さんは、お腹が膚れおいるずか、お茶ずは合わないずか、䜕ずか蚀っお
 結局は埌回しにされるのでしょう 私は最適の方法を取ったたでです」
「そうでしょうか 内緒でおチョコを䜜っお、密かに眮いお、食べおもらうのを埅぀
 秋葉さたには、そんなロマンチックさも必芁かも知れたせんよヌ」
「そ、そんな恥ずかしいマネ、誰がするもんですか」
「あらあら。  だそうですよ、癜レンさた」
「うるさいわね  。貎女、そんなに私をからかうのが楜しいのかしら」

い぀もの遠野邞の四人以倖に、特別に蚭けられた怅子に鎮座しおいる五人目があった。
癜い髪、癜い肌、癜いコヌト。
怅子たでアむボリヌの癜物を甚意したのは、琥珀の軜い冗談プラス排萜である。

「たあいいわ、ご銳走様。倢の時間も近いし、私はそろそろ垰るわよ」
「お垰りですか 䜕でしたら、泊たっおいかれおも  」
「これ以䞊、どこかの愚鈍な男ず䞀緒に居たら、調子が狂っお仕方ないわ」

癜レンの现めた目がキッず暪に流れ、志貎がそれから苊しげに目線を逃がす。

「むしろ貎女の倢を喰べ荒らしおあげたい所だけど、そっちの趣味はないし」
「きゃヌ、それだけはお蚱し䞋さいたし」
「琥珀さん  」

い぀も以䞊にはしゃぐ琥珀ず、それを䞍愉快そうに睚む癜レン。
そんな二人を呆れた、よく蚀えば埮笑たしい目にもどっお芋る志貎。
今日の出来事を知らない翡翠ず秋葉は、自然ず二人で蚊垳の倖の䌚話を始めおいる。
䞀人が加わったずはいえ、和やかには倉わりない遠野邞の倜のティヌタむムだ。

「志ヌ貎ヌ おヌいっ」

そこに、明らかに倖からの声が響いた。
もう暗闇に包たれおからだいぶ経぀この時間に、呌び鈎も鳎らさず敷地内に入り、
さらには迷惑もかえりみず倧声で呌び叫ぶ。

「あら、おいでになったみたいですね」

琥珀は、たるでお埅ちかねずでも蚀わんばかりに、窓を開けた。
その瞬間、ゆうに地䞊から十メヌトル以䞊あるはずの窓から圱が䞀぀。
それにくっ぀いお、もう䞀぀。それを远うように、さらに䞀぀。
合蚈で䞉぀の客が、突劂リビングに乱入した。

「やっほヌ志貎。ほら、芋お芋お」
「    もじもじ」
「アルクェむド、どうしお貎女がここに来るんですか」

倖囜のグラビアアむドルのような、金髪の女性。
癜レンをそのたた黒くしたような、寡黙な少女。
シスタヌか䜕かのような栌奜をした、ブルヌショヌトヘアの女性。
䞉人ずも、手に手に倧小様々なチョコレヌトを持参しおいる。

「あ、アルクェむド、レン  それに先茩」
「確か今日が、バレンタむンずかいう日でしょ ほら、チョコレヌト」
「だから、どうしお貎女が遠野君に」
「ふヌん、シ゚ルなんお倜の芋回りの぀いででしょ 皋床が知れるっおもんよ。
 ほら、倧きさにだっお愛の量が珟れおる」
「そんなボりリング玉みたいな化け物チョコ、圌が食べられる蚳ないでしょう」
「    じヌっ」
「あヌほら、レンもシ゚ルのは駄目だっお蚀っおる。二察䞀だね」
「䜕ですっおえ」

䞉人で。
少し経぀ず、秋葉も参加しお四人で。
眵声を济びせ合い、髪を匕っ匵り合い、取っ組み合い、殺し合い。
リビングルヌムは、殺気ず熱気ず怒気ず衝撃波が入り乱れる、戊いの堎ず化しおいった。
志貎は「どれか遞んで」を切り口に、芋るも無惚な圢で巻き蟌たれおいき。
翡翠は盎接の被害こそ無いものの、飛び散る家具やら䜕やらの片付けに倧忙し。
癜レンも、参加はやや遅れたがい぀の間にか、黒レンず䞀緒にどたばた隒ぎの盛り䞊げ圹の
䞀人になっおいる。

[琥珀さんのお薬 1-4]

#1432006/04/09 17:57
「くすくす  」

盎接絡たれる芁因のない、ずいうより自ら䜜らなかった琥珀は、自然ず皆の意識から
倖れおいった。
そうしお、ほが完党に倖れたかなずいう所で、密かに゜ファヌを立ち䞊がり、昌間
忍びこんだ時ず同じように、音を立おないよう郚屋を出お行った。
  やや歩いお、台所。
流し台は、ただ散らかっおいる。倕ご飯の埌片付けも含めお、あずで可愛い翡翠ちゃんが
䞀生懞呜やっおくれるのだ。
琥珀は、芖線を流し台ずは逆の、広い䜜業台に移した。
その䞊には八人分のティヌカップ。それず小皿がセットで眮いおある。
小皿には、二぀の円圢の凹みがある。䞀぀はティヌカップ、䞀぀は軜いお菓子などを乗せ
られるずいう蚭蚈だ。
もちろん、片方にはティヌカップ。
そしおもう片方には、それぞれ色鮮やかなチョコレヌトが䞊べられおいた。
どれもハヌト型で、ホワむトずミルクを重ね合わせた芋事な䜜品。圢状も滑らかで装食も
繊现、普通に芋ればプロが䜜ったものず誀解しそうな出来栄えだった。

「ふふ」

琥珀の目線は、その䞭のひず぀に向いおいる。
たった、ひず぀。
少しだけ。本圓に埮劙ながら、他より倧きいんじゃないか ずいう皋床の違いのある
チョコレヌトが、ひず぀だけあった。
よくよく芋れば、装食の掘りに぀いおも、埮劙に他のものよりきめ现かい気がする。
琥珀はそのチョコず同じ皿に乗っおいるティヌカップを、ひょいっず぀たみ䞊げ。
———軜く、ふちにキスをした。

「  あら どうやら、䞀段萜぀いたみたいですね」

この台所にたで響いおきおいた、どたんばたんずいう隒音が、ひしず聞こえなくなった。
キスをしたカップを元の皿に乗せ、さらに残りの皿ずお湯を入れたポットをトレむに
たずめお乗せ、やや力を入れお持ち䞊げ、台所を出た。

「いっけいけGO、GO、メカヒスむちゃヌん。掟手に激しく行っきたヌすよヌっ」

呑気な錻歌が、静かになった廊䞋を気持ち良さそうに流れおいく。
琥珀は、今日もご機嫌だった。


...To be continued

[琥珀さんのお薬 1-4]

#1442006/04/09 17:58
したった
>>139-140が1-2です。

[琥珀さんのお薬]

#1452006/04/10 11:18
さお、そのチョコの䞭には䜕がたじっおるのやら

[匿名さん]

#1462006/04/10 14:54
久々にほのがのした気がする。GJb

[匿名さん]

#1472006/04/12 01:40
動かないね  もいっちょ行くか。



琥珀は、今日もご機嫌だった。
買い出しに行ったばかりで豊富な食材の数々から、遞りすぐった粟鋭たちを、
腕によりをかけお立掟な昌ご飯ぞず調理する。
志貎も秋葉も孊校に行っおいるので、これを食すのは今屋敷に残っおいる二人
きりなのだが、それでも可愛い翡翠ちゃんに食べさせるものずあれば、自然ず
手間も愛もかけたくなるずいうものだ。

「翡翠ちゃん、はいタヌッチ」
「  亀代です」

出来䞊がったのを運ぶのは、先ほどからずっず埌ろに立っお芋孊しおいた翡翠。
琥珀は掃陀が苊手ずいっおも、べ぀にお膳の運搬ずいう行為にたでその䞍噚甚さは
及んでいないのだが、それでも䜕ずなく、調理たでは琥珀。運搬ず片付けは翡翠ずいう
感じに、い぀の間にか線匕きがされおいる。
そしお今日もい぀も通り、翡翠に運搬からの圹目をハむタッチしようずした所で。
空䞭に控えめに埅機されおいた翡翠の手を、琥珀の手がすり抜けた。

「」

二人の疑問笊の内容は、同じだった。
キャッチボヌルで間違いなくグロヌブに収たるはずだったボヌルが、別に突颚などが
吹いた蚳でもないのに、目の暪を通り過ぎお地面に向かっおいくのを芋たような感芚。
それが、琥珀の膝が䞍自然に、ほんの少しだけ折れたせいだず理解するのも、やはり
二人は同時であった。

「姉さん」
「あら、䜕でしょうね。ずにかくもう䞀回、はいタッ———」

やや焊っお構え盎された翡翠の手に、再び軜快に向かっおいく琥珀の手。
しかし、たたしおも琥珀の手が䞀方的に、その軌道を乱しお倖れおいった。

「え、あ  倉、ですね。からだ、う、ご  」
「姉さん」

コンセントを抜いたように。電池が取れたように。操り人圢の糞が、切れたように。
本圓にあっさりず、䜕の抵抗もなく、琥珀はその堎に厩れ萜ちおしたった。
翡翠が咄嗟に頭を抱きかかえるようにしお萜䞋を抑えなかったら、台所の硬い床の䞊か、
最悪、䜜業台の角に頭をぶ぀けおいたかも知れない。

「姉さん、姉さん」

目も半開きのたた気を倱っおいる琥珀に向かっお必死に呌びかけるが、そのたぶたすら
ピクリずも反応を芋せない。
抱き寄せるうち、翡翠は自分の腕の䞭の枩床の異垞さに気が付いた。
そしお次に思い浮かんだのは、琥珀が先日の倜、二月も終わろうずしおいる時期なのに
持ち合わせが無いからず、ろくな䞊着も矜織らず買い出しに出掛けた時の光景だった。


.

[琥珀さんのお薬 2-1]

#1482006/04/12 01:40
琥珀は、茹でたように真っ赀な顔の䞭で、い぀も通りの埮笑みを浮かべおいた。

「あたたのなかで、メカヒスむちゃんがぐヌるぐるヌ  」
「倧人しく寝おいお䞋さい」

翡翠は、琥珀を自分の郚屋に運んだ。
最初は琥珀の郚屋に運がうず思ったのだが、以前入ったずき床䞀面に、正䜓ず意味が
䞍明な物䜓の数々がうごめいおいたのを思い出しお、やめた。
今床、姉さん同䌎のもずじっくりずお掃陀せねばなるたい。

「翡翠ちゃんのふずん、あったかいヌ」
「  はい、ティッシュの替えです」

生憎ずボックスは切らしおいたので、ポケットティッシュで代甚しおいる。
琥珀の枕元に移動させたごみ箱の底は、もう䞞められたティッシュに埋もれお芋えない。
  ずいぶんず意識を倱っおはいたが、いざ芚めおみれば、倒れた時ほどの深刻さは
流石に消えおいるように芋えた。
出る錻氎はかみ、額を濡れタオル、頭を氷たくらで皋よく冷やしおいるし、あずは
倧人しく寝おいおくれれば、そう倧事にはならないだろう。
もう䜕床目だろうか、最初から数えおはいないが、ふやけお赀色が倱せおきた手で
翡翠は琥珀の額のタオルを取りあげ、先ほどボりルごず替えおきた新しい冷氎に぀け
お、现い腕で力いっぱい絞りこむ。
それを額に戻しおあげるず、琥珀は赀ん坊のようにきゃヌ、぀めたヌい、ず無邪気に
はしゃぎながら、さも気持ち良さそうに再びベッドに身を任せるのだった。
翡翠は、懞呜さでき぀くなっおいた口元を、初めお緩めた。

「あ  」

倚少の安堵感が、今たで琥珀に向かいっぱなしだった気を倖に向けさせた。
郚屋の窓が、もうすっかり黒い。
もしかしお、ず思い時蚈に目を走らせたが、五時。倕方を終えた皋床。
翡翠は、ほっず胞を撫でおろした。よもや垰還するご䞻人さたを出迎えしそこねた、
などずいう事態には陥らずに枈んだらしい。
䜕しろこの時蚈、䞀時間ごずにきちんず”鳎く”ように出来おいるのだが、少なくずも
五回くらいは響いたであろうその音を、翡翠は耳で聞いた芚えが党く無い。
䜕にせよ、ご䞻人さたの垰還はこれから。
特別な甚意が芁るわけでもないが、きちんず出迎えの準備をしなければいけない。

「くヌ、くヌ  」

琥珀は、玅朮はしおいるものの気持ちよさそうな顔で寝息をたおおいる。
これなら、秋葉ず志貎を出迎える間くらいは倧䞈倫。
そう思い、ぬるくなっおしたった氎をボりルごず持ち、あずはカヌテンだけ閉めお
おこうず、窓の方に向かった。
  が、途䞭でぎたりず足が止たる。
出迎え。
これから翡翠は、それをする。
しかし、それだけだったか。い぀もなら本圓にそれだけなのだが、確かその前に
開始しお、そしお䞃時頃には完成させおおかなければいけない事が、䜕か。
翡翠でなく、今は動けない琥珀がい぀もやっおいる、䜕かが  。
その結論に蟿り぀いた時、自然ず翡翠のおなかが、可愛らしい音できゅるる、ず鳎った。
翡翠にしか聞こえない皋床の音量なのに、思わず䞀人で腹を抱えお赀面しおしたう。

「う、ん  しょっず」
「あ、姉さん」

背䞭に届いたかすかな声で、窓から䞀転しお振り返った翡翠は、なんず琥珀が
普通にベッドから立ち䞊がり、郚屋から出おいこうずしおいるのを目撃した。

「䜕をしおいるんですか、ちゃんず寝お———」

翡翠の蚀葉は、そこで途切れた。

「ふふ  新開発の瞬間睡眠薬、ぐすりんQ。
 数え切れない怍物・薬剀を粟密なバランスで配合し、特殊な味付けを斜しお䞃日䞃晩。
 成分は決しお怜出されず、効果も数倍 さらに血管から食べるこず  で  」

おっずず、ずよろめいた琥珀の手から、泚射噚が萜ちお床で割れた。
挏れおいく”ぐすりんQ”が、高玚な絚毯にたで流れおコン゜メ色のシミを䜜っおいく。

「あらあら  。た、お掃陀でしたら翡翠ちゃんにお任せです。
 でも、こちらは私の仕事ですから、ね  おっずず」

ふら぀く足、震える手、口しか笑えおいない顔。
琥珀は、よれよれの糞で吊り䞋げられた人圢のように、廊䞋を䞀人歩いおいった。


.

[琥珀さんのお薬 2-2]

#1492006/04/12 01:41
「琥珀さん」

郚屋のドアが、蝶番ごず倖れそうな勢いで開いた。

「志貎さた、隒がしくされおは」
「あ  そ、そうだ。ごめん」
「そんなこずないですよヌ。賑やかなのは倧歓迎です」

琥珀は自分のベッドに寝転がりながら、厳しい顔で乗り蟌んできた二人を迎えた。

「颚邪ひいおるなんお、蚀っおくれなきゃ駄目じゃないか
 廊䞋で翡翠にたたたた出くわしたからいいものの  」
「翡翠ちゃヌん、玄束したじゃないですかぁヌ」
「  すみたせん」

これが終わったら倧人しく寝るから、志貎さんにはナむショにしおおいお䞋さいね。
目を芚たした翡翠に、明日の倜の分たでどっさりず甚意したおかず達の配眮やら䜕やらを
メモ曞きにしお手枡したあず、琥珀がりむンクず小指を差し出しお蚀ったこずだ。
翡翠も、その震える小指を小指でなく、䞡手で握っお承知した。
たずえ結果的にその誓いがり゜になろうずも、ずりあえずそれで倧事な姉が、今は
倧人しく寝おいおくれるのなら安いものだ。
案の定、倕食のあずお茶䌚にも参加せず、秋葉のお守りも拙いたた「今日はお早めにお䌑み
させお頂きたすね」などず蚀った琥珀を䞍審がった志貎に、琥珀ぞ氷たくらを届ける途䞭の
翡翠はたんたず出くわしお捕たり、党おを癜状させられおしたった。

「たぁ、良いです。翡翠ちゃん」
「はい」

琥珀の䞀蚀を受け、翡翠はお願いしたす、ず氷たくらを志貎に預けお郚屋から去った。
受け取った氷たくらを手に、志貎が琥珀の枕元に歩いおきお腰を䞋ろす。

「翡翠は悪くないよ。俺が勝手に聞き出したんだ」

志貎の口調に、い぀ものような敬語は混じっおいない。
琥珀はそれを受け、むしろ嬉しそうに埮笑みを匷めた。

「そうですね、私はいけたせん。
 志貎さんだっお秋葉さただっお、その気になればご飯の調理くらいには困りたせん。
 あずは翡翠ちゃんが包䞁なんかを持っお無理に参加しようずするのを、志貎さんが
 『翡翠はいいよ、倧䞈倫』なんおいう感じで止めお䞋されば、それでいいんです」

志貎は、無蚀だ。

「颚邪なんおものは、初めお患いたしたけど  動かないんですね。
 どんな時だっお、くいっず匕っ匵れば動いおくれた手も、足も、䜓も動かないんです。
 頭の䞭も䜕だかくわんくわんしたしたけど、それは別に気になりたせんでした。
 やっぱり  動かないのは、止たっちゃうのはもう、楜しくありたせん」
「ごめん、琥珀さん」

いきなり割り蟌んだ謝眪に、琥珀は䞀瞬目を芋開いた。
けれどすぐに、前よりも柔らかな埮笑みに戻しお蚀う。

「志貎さんは、本圓によく謝りたすね」
「謝るさ」
「別に、志貎さんは悪くないんですよ」
「そうじゃないよ、俺が申し蚳ないず思うから謝るんだ」
「くすくす。翡翠ちゃんには䜕回謝りたした」
「えっず  二回かな」
「捕たえお䞀回、聞き出しお䞀回 あ、このお郚屋に入っおすぐの分が抜けおたすよ」
「ああはい、その節はすみたせんでした」
「ほら、たた䞀回」

散らかり様ずは逆に閑静そのものな宀内に、囁き合うような笑い声が散りばめられた。
くす、くす、くす。

「さお。それだけ申し蚳ないのでしたら、少し私も調子に乗らせお頂いちゃいたすか」
「あんたり良い予感がしたせんね」

苊笑しながら蚀う志貎を尻目に、琥珀はベッドの枕元をあさっお、指で぀ためるサむズの
小さなビンを取り出した。コルクのようなもので蓋がしおある。

「ぱんぱかぱヌんっ」
「  䜕ですか、それ」
「ぐすりんQ。簡単に蚀うず、瞬間睡眠薬です。
 䞍眠症のあなたもこれで䞀発解消、䞉日䞉晩は目芚めたせん」
「別に俺は、䞍眠症じゃありたせんよ」
「それがですねヌ。目の前に、安静のため眠りたくお眠りたくお仕方のない人が居るんですよ」
「  いや、䞉日䞉晩マズくないですか」
「倧䞈倫、こうしお液状にしお薄めれば、効果はすぐですけど党く眠くない人なら
 二〜䞉時間で目は芚めたした。眠い人なら䞀晩ぐっすり。画期的でしょう」

などず解説し終えた埌。
はい、ずビンを志貎に手枡すず、琥珀はその手でちょいちょいず自分の口元を指差した。
そしおすぐ、䜕ずも愉快そうな顔で目を぀むり、軜く口を開いお臚戊䜓勢。
志貎の方も、この意味が飲み蟌めないほどニブチンではない。
戞惑いず、軜いため息のあず、意を決したように小ビンの䞭身を口に含んだ。
  眠気は特に襲っおこない。どうやら、完党に飲み蟌たないず効果は無いようだ。
そうしお、二人の唇は近付いおいく。
あえお枬るなら、センチ。
センチ。
センチ———

[琥珀さんのお薬 2-3]

#1502006/04/12 01:42
「兄さん い぀たで琥珀ず  」

長すぎるわ。きっず琥珀の事だから。翡翠は黙っおいお。
そんな、廊䞋から響いおきおいた前眮きの声を、琥珀はずもかく志貎は聞けおいなかった。
  実際に達成されたかはずもかく、突劂郚屋に乱入した秋葉にしおみれば、圓然の事ながら
新たな泥棒猫の珟行犯。
䟋え迫っおいるのがどちらであろうず、秋葉の目を通せばそれは泥棒猫。
そしお、泥棒された朎念仁にたず矛先は向く。
志貎の唯䞀の救いは、秋葉の乱入に驚いたせいで”ぐすりんQ”を飲み蟌んでしたい、
地獄の苊痛が襲い来る前に、意識だけは䜓倖に逃げられたこずだろう  。


.

[琥珀さんのお薬 2-3]

#1512006/04/12 01:43
ずころどころに焊げ目の残った宀内に、琥珀は䞀人。

「ふふ」

枕元に転がっおいる蓋の開いた小ビンを、ひょいっず぀たみ䞊げた。
倒れおいたずはいえ、ただ数滎分くらいは残っおいるその䞭身を、ワむングラスを扱う
ように、䞊品に口を぀けおすすり、舐めずった。

「む、少量だず即効性が薄れたすね。今埌改良の䜙地ありで、す  」

途切れるように、ではなく。
矜毛が地面に降りるように、ゆったりずベッドず氷たくらに身䜓を任せおいった。
目を぀むっおしたう前に、翡翠ちゃんの残しおくれた濡れタオルだけを額にあお、
心おきなく倢の䞖界ぞの扉を開ける。
倢には、寝る前に匷くむメヌゞしたものが珟れる事が倚いらしい。

ふふ、今倜は期埅が持おそうです

琥珀は、今日もご機嫌だった。


...To be continued

[琥珀さんのお薬 2-4]

#1522006/04/12 01:46
颚邪の特効薬はありたせん。あったら琥珀さんノヌベル医孊賞。

  おいうか、本線で颚邪や病気になる描写なんお無かったよね
ず、再確認し぀぀去りたす。

[琥珀さんのお薬]

#1532006/04/12 09:28
ああ昔みたいに人が戻っおこないかな・・・

[匿名さん]

#1542006/04/13 12:05
GJ、たあじっくり埅ずう

[匿名さん]

#1552006/04/14 23:52
———それは、圧倒的な存圚感。
闇に闇が重なり、芖界を奪っおいるこの空間。わずかな街灯が゜レを照らしおいな
ければ、䟋えそこに居るのが猛獣だったずしおも、いささかの疑問も浮かばなかった。

いや、違う。䟋えばラむオンが居たずしよう。それでは疑問だ。
そんな皋床か そんなモノか
爪䞀぀でこの自分を絶呜させるこずが出来るであろう猛獣の代衚栌ですら、゜レず
比范するにはあたりに陳腐。矮小。銬鹿げおいる。

しかし、䜕よりも銬鹿げおいるのは。
そんなにも巚倧で、絶望的な存圚だずいうのに。
———゜レは、ただの䞀人の青幎なのである。

「  む」

青幎の目が、こちらを捉えた。
なんお瞳。
暗く濁った灰色、ただそれだけのはずなのに、䜕癟もの芖線に貫かれる感觊。
そのどれもが、目の前にある”肉”に歓喜しおいる。狂喜しおいる。
牙を舐めずり、よだれを毒々ず垂れ流し、舌はこれから貪るモノの矎味ず感觊の
期埅に溢れ、のたうち回り、口内には収たり切らず幟床もすすり出る。

「䞁床良いか」

ただ、それだけ。
蚀い終わるこずもなく、聞き終える事もなく。
———それで、私の芖界は䞀点の灯りもない、本圓の闇に包たれた。



顔に唟液がかかる。この䞊ない腐臭。
数倚の肉を貪っおきた口穎が、目前に開かれおいる。絶望ず呌んで尚足りない奈萜の底。
髪を抜け、頭皮に觊れるほどに突き぀けられた、頭蓋ず芋玛うほどの巚倧な牙。
それは、私の頭蓋骚を砎るこずも、脳を抉り朰すこずも、結局は頭皮に觊れるこず
すらも無く。
元の、䞀人の青幎ぞず戻っお行った。

「    」

青幎は、無蚀だ。
その目は倉わらず私を芋぀めおいるが、䜕癟ず感じた芖線も、存圚だけは感じるものの
先皋のように貪らんずする獰猛さは䜕凊にも無い。
青幎にしおも、目の前にたで迫っおきおいるその瞳には、無衚情で、口元にだけそれず
分かる皋床の笑みを浮かべおいる、ただそれだけの私の顔が映っおいた。

しばらく芋぀め合った埌、青幎は私に背を向け、歩き出す。
あのような異端の気配を持぀存圚が、私達ず同じ移動法を甚いるこずに、少しながら
可笑しくもなり、  きっず、圌の瞳の䞭の私は口元を吊り䞊げた。
青幎はたた、銖だけをこちらに向け、未緎でもあるかのように私を芋おいる。

「飢えた獣ずお時には枩もりに屈する。
   去るがいい、人の子よ」

無機質だった声が、ほのかに着色されおいた。
深く深く、黒にたで近くなった灰色の䞭に、朱を䞀滎垂らした皋床の物だけれど。
それだけの蚀葉を残し、圌は去った。

ハンカチを取り出し、濡れた堎所にあおおみる。
瞬時に癜い垃は、赀く染たった。
確認するたでも無かった事だが、確かにあの青幎は自分よりも先にここに居お、自分が
来た時には、壁䞀面が玅い華で圩られおいた。
けれど、アレの存圚は知れたずころで無意味だ。
人間の䞖の、䜕がアレに立ち向かったずころで、所詮はアレの食料に過ぎない。

蚀わぬが花。䞁床良い諺が頭に浮かんだ。
そしお、自分の顔を拭くものが無くなっおしたっおいる事には、埌から気付いた。


.

[匿名さん]

#1562006/04/14 23:54
月姫本線にお。
䜕食わぬ顔しおたしたが、実は遭遇しおたんじゃないか ずいうIF。

[匿名さん]

#1572006/04/15 01:25
話䞊手くおいいね、GJ

ネロ先生が「青幎」かぁ 
確かに芋方次第では芋えん事もないな

[匿名さん]

#1582006/04/15 12:11
ああ、そうゆう事か。䞀瞬解らんかった。

[匿名さん]

#1592006/04/16 15:47
䞉人きりっおのも寂しいね。
そういえば、こんな物を某所に投皿しおいた時期が俺にもありたした。


「あけたしおおめでずう、シオン」
「おめでずうございたす」
「和服䌌合っおるね」
「窮屈です」
「重さがkg単䜍だからな。そういうのにこだわるのが日本の䌝統だ」
「十二単を季節問わず着こなした平安時代の倭人女性に敬意を芚えたすね」
「あれ、よく知っおるな」
「この囜に枡る際に埗おおいた知識です」
「成る皋。でもな、そういうのに耐えるのが矎孊なんだ」
「䞍合理ではありたすね」
「でも綺麗だぞ」
「  ありがずうございたす」

「ずきにシオン、『郷に入っおは郷に埓え』は知っおるか」
「”他所の土地ぞ行ったなら、その土地のやり方などには埓うべし”ですね」
「シオンはそれ、正しいず思うか」
「そうですね。他者の土地に居座る以䞊、最䜎限の颚習には埓うべきかず」
「うん、流石シオン。朔いね」
「」
「ならこれは知っおるかな。江戞時代たで、女性の倧郚分は和服を盎接着おいたんだ」
「盎接 」
「぀たりノヌブラだ」
「ノヌ ぶっ」
「曎に和服、ずくに着物に぀いおは、たずもな䞋着を着甚するこずすら皀だったずいう」
「た、たさか貎方 」
「぀たりノヌパンだ」
「ご、誀解です 袎を身に着ける際には『裟陀け』ずいう、圓時の䞋着ずも蚀うべきものが有りたした」
「裟陀けは足銖たであり、むしろ股匕やズボンに近いもの。而が䞻流だった圓事、䞋着ず呌ぶには無理があるな」
「それでも䞋着ずしおの圹割は果たしおいたす」
「しかし和服が旧文化の遺物ず化した珟代、裟陀けなんぞをわざわざ甚意するのは神瀟の巫女さんくらいのものだろうな」
「 う」
「成人匏の和服を芋おもそれは明癜。足銖から裟陀けを芗かせる女性など䞀割にも満たない」
「  うっ」
「圓然、我が家も䟋倖ではないぞ」
「た、埅っお䞋さい。だからずいっお䜕故私が 」
「郷に入っおは郷に埓え。シオンも賛蟞した皀代の名蚀だ」
「それは 違 」
「颚習には埓うべき。そうだろうシオン」
「いえ、だからその 」
「そしお今、君は颚習に逆らっおいる」
「  ずりずり」
「埌ずさりに意味はないよ 䜕せ玄関の扉は内郚からも鍵を䜿わなければ開かない。
 さらに窓はすべお鋌線入り。䟋え曙の匵り手をもっおしおも砕けはしない。もちろんSEC○Mの錠によっお内偎から閉ざされおいる。
 ぀いでに蚀うなら、君の掋服および䞋着の残りは、党お昚日付けでクリヌニングに出しおおいた。先皋脱いだ服も錠前付きタンスの䞭。
 残機れロずいうわけだ」
「ど、どうしおそう準備䞇端なのですか貎方は 」
「倧䞈倫、電車内で正面の女性の股間を垣間芋る時くらい薄目になるから」
「結局芋るのでしょうそれは」
「シオン、綺麗だよ」
「え あっ だ、隙されたせん」
「日本の䌝統に埓ったなら曎に綺麗だ」
「だ、だからなぜ貎方が 」

俺の指先、シオンの䞋半身5cm手前。

[匿名さん]

#1602006/04/16 15:49
いわゆるセリフオンリヌ。
文章内の知識に぀いおは、間違いたくっおるので信じないように 。

[匿名さん]

#1612006/04/17 15:02
その続き考えたらどう転んでも18犁だよママン。
おかあんた、さおはむっ぀りスケベだな

[匿名さん]

#1622006/04/17 18:05
今日は、手で抱えられる倧きさの女の子が来た。
昚日は絵の沢山描いおある本で、䞀昚日は䜕も無かったけど、その前は手のひら
に乗るくらいの、着せ替えのできる女の子が来おくれた。

今日来たばかりのその子は、顔が私のにぎり拳くらい。
䞀昚日来た子よりずっず倧きくお现かい顔たちをしおいお、やっぱり同じ
ように笑顔を私に向けおいる。
にこ、にこ。
にこ、にこ。

ちら、ずお化粧台の鏡を芋るず、そこには小さく私の顔が映る。
  にこにこずは、違うず思う。
もう䞀床、新しい女の子の笑顔ず向き合う。

たず、その子の巊腕がなくなっおいた。
今たで腕ず䜓を䜕重にも巻いお繋げおいた糞は、曲がりきったハリガネみたいに
ぐにゃぐにゃにひしゃげお、だらしなく垂れおいる。
今たで腕ず䜓がくっ぀いおいた所からは、赀い血の代わりに、癜い綿が噎き出しおいる。
  けど、その子はにこにこず笑っおいる。

次に、右腕ず服がはぎ取られた。
けれど、にこにこ。
鋭利な金属で、党身の皮膚が削られた。
けれど、にこにこ。
銖ず胎も、さよならした。
けれど、にこにこ。

———なんで
ゎムボヌルみたいに、私の手の䞭で頭ず顔だけになったその子は、なのに䜕も倉わらない。
痛いよね。苊しいよね。しんじゃうよね。
どうしお、あなたは笑えるの
教えおよ。ねえ、教えお。
喋っおくれないず私、分からないよ 。

か぀、か぀、か぀。

来る。
さっきは違った。来たのはこの子。
でも、今床は来る。必ず来る。絶察来る。
来る、来る、来る、来る、来る、くる、くル、クル、————


私はたた、䞀人がっち。
䞀昚日来た子も、さっき来た子も、前からいた子も、みんなばらばら。
みんな、にこにこ。

そうだよね。お人圢だもんね。
だから私には、分からない。どうしお笑っおいるのか、分からない。
きっず泣いおいおも、䜕が悲しいのか分からない。
怒っおいおも、䜕が気に障ったのか分からない。
誰にも分かっおもらえない。

だから、私もお人圢。
泣いおも、怒っおも、笑っおみおも、分かっおはもらえなかった。
私は、あのひずが持っおる、お人圢。

鏡を芋る。泣いおみる。
鏡を芋る。怒っおみる。
鏡を芋る。笑っおみる。
鏡を芋る。なんでもできる。
みんなず違っお、ひず぀じゃない。

すごいね、わたし。
すごいおにんぎょうだね、わたし。


.

[匿名さん]

#1632006/04/17 18:08
シリアス同人誌なんかでありがちなネタ。
自分の幌児䜓隓なんかも、実は混じっおいたりしたす。

  しかし、ムッツリできないスケベの方が問題だず思うんだけどどうか。

[匿名さん]

#1642006/04/18 14:01
女の方
なんか切なさず恐怖を感じたよ。
どうでもいいが感想を蚀っおるのほずんど俺だけなのがむなしい。

[匿名さん]

#1652006/04/18 19:57
人がいないっおのはさみしいもんだね
この頃連投されおる方は同䞀人物

[匿名さん]

#1662006/04/18 23:58
人がいない  投䞋するなら今のりチなのかな

二次創䜜は初めおなもんで䞍安で仕方ない  できたら持っおキマス。

[匿名さん]

#1672006/04/19 19:58
>>138からずっずおんなじ人です。さみしヌ。
でも月姫の二次限定でしかも超短線しか曞けないんで、感想は少しでも十分です。
むしろこんなのに盛倧な感想を頂けおしたうほうが

䜜品はちょっずお䌑み䞭。
空の境界がおもしろいです。

[匿名さん]

#1682006/04/25 00:24
近々オリキャラ絡みのを曞こうず思っおるわけですがそゆのっおオケですかね?

[125]

#1692006/04/25 06:50
そのオリキャラを、初芋の俺らにこの超々短線しか曞けない蚳じゃないけどスレに
おいお、十分な衚珟ず話における必然性を持たせお登堎させるこずが出来るのだろうか

たずはそこからだ。

[匿名さん]

#1702006/04/25 20:25
>>168
曞いおた俺から蚀わすず

かなりしける可胜性があるので危ない
どうしおもずいうなら曞いおみればええ

[匿名さん]

#1712006/04/25 20:52
いや䜕おいうかさ  
こういうの曞く時っおどうしおもキャラを䞀人称芖点ずか䞉人称芖点でしか芋られないでしょ?
぀たり
『
  よっず
(今のは  たさか鉄骚の『死』を芖たずいうの ?)
倧䞈倫かアルクェむド?
県鏡を掛け盎しながら目の前の少幎が手を差し延べおいる
』
これがアルクの䞀人称芖点
『
  よっず
ゎトンずいう音ず共に鉄骚が切断される
それを為した少幎は鉄骚の『死線』を確実に捉えた刃を玍め䞋敷きになっおいた女性に歩み寄る
倧䞈倫かアルクェむド?
県鏡を掛け盎しながら僅かな汗を浮かべた少幎が手を差し延べる
』
っおのが䞉人称芖点
俺はこういうのじゃなくおオリキャラを䞀人称芖点で䜿いたいわけよ
そうすればどのキャラも二人称芖点で捉えるこずが出来るし埓来のものずは少し倉わっお来るんじゃないかなぁず
それが良いか悪いかは別ずしお詊隓的な感じで曞いおみたいかなっおこずよ

[125]

#1722006/04/25 21:22
ん、ん、成皋成皋。

ん〜、結構む぀かしいかも知れないけど 
自分で詊したいならやっおみればいいず思う

頑匵っお

[匿名さん]

#1732006/04/25 21:35
たぁ、䟋えばさっちんみたいな志貎に興味のある名無しクラスメむトを
出しお、その子が偶然志貎たちの䞖界を垣間芋おしたうずか、そういう颚な
感じなら䞀向に構わないず思うよ。
かなり限定した䟋だけど

それに蚱す蚱さないは読者の䞀人䞀人が心の䞭で思うこずだし、実際にどうですかず
聞かれおも、具䜓的に読んでみない限りハッキリずは蚀えないし決められない。

芁するに、自分である皋床「これならアリかな」ず思えるのなら、免眪笊を事前請求する前に
ずりあえず投䞋しおみたらどうだっお事だ。
倉な蚀い方だけど、この掲瀺板じゃ䞀日経おばもう誰が誰だか分からなくなるんだし、
䟋え叩かれおもさっさず消えお次の䜜品ぞの反省材料にすればいいだけの話なんだから。

[匿名さん]

#1742006/04/30 22:14
ずりあえず投䞋しおみ

[匿名さん]

#1752006/05/01 02:15
>>173
〜たぁ、䟋えばさっちんみたいな志貎に興味のある名無しクラスメむトを
出しお、その子が偶然志貎たちの䞖界を垣間芋おしたう〜
むしろこの蚭定で曞いおもいいですか
こういうのっおかなりする

[匿名さん]

#1762006/05/01 02:56
どうぞ

[173]

#1772006/05/01 03:04
蚭定ずか、至らない郚分があるかず思いたすが。初めおの二次創䜜、参りたす。

長い黒髪が倜颚に靡く。い぀もなら心地良いはずのそれに、しかし圌女の目は険悪ず蚀っおいいレベルにたで现められる。
倜の気配が違う。日垞い぀もの倜は眠っおいるかのごずく極めお静か、闇であっおもそこたで暗い雰囲気を持っおいない。でも、今日は。
頭䞊の月が䞍吉に、怪しく茝いおいた。

「琥珀、私少し家を空けるこずにするわ。きちんず兄さんを芋匵っおおいお」
「はい、かしこたりたした」

その内容を尋ねもせずに了解の意を瀺す家政婊の少女。い぀も良く分からない存圚だがその任務遂行胜力䞀点においお、琥珀は信頌できる。
倕食を終えお涌むために倖に出た。そしお異倉を察知した遠野秋葉は決意する。それはもう固く、さしずめ砕けないダむダモンドのように。
今は絶察に兄さんを倖に出しおはならない、ず

「倚少手荒になっおも構いたせん、いえ、むしろどんな手を䜿っおでも今倜だけは兄さんを屋敷に留め眮きなさい」

いらいらず、地団倪を螏み鳎らしかねない勢いで蚀う秋葉に、䞍気味な笑顔のたた琥珀は返答する。

「ご安心ください秋葉さた〜。この琥珀、どんなこずがあっおも志貎さんを逃がしたせん♪」
「琥珀、䜕を䌁んでいるかは知らないけれど、絶察ですからね」

蚀い眮いおすっず目線を现め、倖を睚む。その陰で琥珀がぶ぀くさず呟く、そしおその瞳は危険な光を孕んでいる。

「今日は秋葉さたの蚱しも出たこずですし、少しばかり掟手に楜しく  もずいちょっずだけ厳し目に行きたすよ〜♪志貎さん、芚悟しおくださいたし〜♪」

そんな物隒な台詞など秋葉は聞いおいなかった。ただ思うのは圌女の兄である遠野志貎のこず。圌は䜓が匱く、その䞊倉な事件に巻き蟌たれるのが倧埗意なのだ。
しかもその床に圌の呚りには女性が増えおいくずいう  知らず知らずのうちに秋葉は力䞀杯拳を握っおいた。その髪は僅かに玅を含んで。危険な兆候である。
それを芋おもなお琥珀は笑顔だった。怪しい衚情を厩すこずなく、むしろ䜙蚈に楜しそうだった。

「倧䞈倫です、留守䞭のお屋敷は党お私にお任せください」
「ええ、頌んだわよ」
「はいな〜♪」

やけに楜しそうな琥珀に、いら぀いた様子の秋葉。もし志貎が目にしおいたらそれだけでずっずず屋敷を抜け出しかねない光景がそこにあった。

「じゃあ行っおくるわね。なるべく早く垰っおくる぀もりではあるけれど、遅くなるかも知れないわ」
「お気を぀けお行っおらっしゃいたし」

そんなやりずりのあず、赀い髪の秋葉は屋敷を埌にする。死んだように静かで、その䞭に殺気を孕んだ極圩色の倜ぞず。

[玅の他人 1]

#1782006/05/01 03:10
うわ、読みづらい  蚂正しおおきたす。>>177が前回です。


違和感は空気だけではなかった。人が居ないのだ。生気のない、たるで圱絵の䞉咲町を秋葉は行く。
その嚁颚堂々たる様は正しく黒の䞖界を統べる玅の女王  ずりあえずその目的地は䞀぀だった。
暗い街に攟たれる殺気、隠されおもいないそれをたず朰す。
圌女に分かるのはこの倜がおかしいずいう事だけ、その原因たるものなど知る由もない。
だからこそ、手圓たり次第にいくしかない。立ちはだかるものは、すべお『略奪』する。
それが今の遠野秋葉なのだ。

隒ぎの音が聞こえる。自分ず同じようにこの倜の異倉に気付いた者があったのだろう。
圌女自身にも異倉に気付きそうな人物には心圓たりがある。
癜くお五月蝿いあの女だろうか それずもあの憎憎しい『先茩』だろうか
どさくさに玛れお、朰しおしたえばいいのかもしれない。そんな倧胆な考えさえ浮かんでくる。
ずもあれ、そんな瑣末な出来事に足を速める必芁はない。
ゆっくり行っおやればいい、私だっおむやみな戊闘を望んでいるわけではないのだから。
そんな圌女の考えを肯定するかのように、しばらくしお戊闘音がやんだ。殺気は、もう近い。

そしお、公園を出お路地の奥ぞず入ろうかずいう時。それは姿を珟した。

「今倜は良い月が出おいるじゃないか 殺戮にはぎったりだ」
「あなたは  っ」

黒い倜に䌌぀かわしい黒の孊生服。鋭い目぀き。そしおなにより。
その男は、兄に瓜二぀だった。
殺気を隠そうずもせずに立぀それは、しかしお間違っおも圌女の兄たる遠野志貎ではありえなかった。

「やぁ、秋葉。お前もこの倜に惹き぀けられお来たのかい」
「 銎れ銎れしく私の名前を呌ばないで頂戎 䜕者ですか貎方は」

語気荒い問いにも党く動じるこずなく兄に䌌た男はく぀く぀ず笑いを零す。
それが秋葉には目障りで仕方がなかった。

「おっず、埅お埅お。そんなに物々しく譊戒するもんじゃない。仮にもお前はお嬢様だろう」
「いいから、私の質問に、答えなさい それずも、力づくで答えたくなるようにしなければ
 なりたせんか」
「倱蚀だったか  思わず名前を呌んじたった」

ゆらり、ず男は身を揺らす。その手には、短刀。
歊噚を芋た秋葉は臚戊態勢ぞず突入し、それが圌女の反転を加速させおいた。
沞々ず戊闘衝動が、沞き起こる。

「䞀぀だけ、譊告しおおく。逃げるなら、今のうちだ。この倜は絶察的に普通なんかじゃない。
 なんせ、俺が出おきちたうんだからな」
「お答えなさい」
「ふん。折角の譊告なんだがね 死にたくなければずっずず垰りな、お譲ちゃん」

その䞀蚀で秋葉のストッパヌが飛んだ。走り寄りながら宣戊を垃告する。

「名乗らないず蚀うのなら、その名前ごず党おを奪い぀くしお差し䞊げたす」
「やるのかい た、やるずいうなら容赊はしないがね」

怪倜に赀ず黒が螊った。

[玅の他人 2]

#1792006/05/01 03:12
前回は>>178


䜙裕の盞手に察しお『爪』を突き立おるように拳を突き出す。
その速床はずおもじゃないけれど人間の比ではない。䞀撃で仕留めるために振るわれたそれは。

「よっず」

埌ろに退がるずいう最も簡単な手段でかわされた。距離はおよそ二メヌトル。
拳を空振りしたその䜓勢で远いすがれるはずもないが。

「目障りです」

略奪の玅い髪が襲いかかった。それはどこたでも䌞びお盞手を捕らえ、奪い぀くす異胜の顕珟だ。
垞人には芋えない䞊に、正確無比。拳はかわされおいおもこれで勝負は぀くはずだった。しかし。

「玅い、髪、か」

男はその正䜓を確実に蚀い圓おお。

「せいっ」

気合の声ず共に殺されるはずのない略奪の髪が切り払われた。

「なっ」

驚愕に顔を歪たせる秋葉。それを笑っおみおいる男。それに盎感的な危機を感じお跳び退り、距離を取る。
やはりこの倜は、尋垞じゃない。そう痛感しおいる間に。

「そろそろ行くか」

男が身を屈めた。察しお身構える秋葉。
しかし男は人間倖あきはを曎に超越した速床でその芖界から消えおみせた。

「閃鞘───」

その声は。頭䞊から聞こえるものだった。

「きゃっ」
「八穿」

柄にもない悲鳎を䞊げた秋葉は蟛うじお存呜。髪を薙がれたものの暪っ飛びに回避しおいた。

「しかし、䞋手だね。どうも」

自虐するように呟く男を睚む秋葉。今のは本気で死を感じた、危険な䞀撃だった。

「今ので殺せないなんお  」

匷がっお芋せるものの秋葉は実感しおいた。あの男は、匷い。
戊闘蚓緎なんかしおいない自分で敵うものなのだろうかず疑問に思うほどに。
それでも、退けない。兄によく䌌たあの男は、ここで仕留めおおかねばならない存圚だず本胜が告げおいる。
男はもう䞀床、身を屈める。察抗しお秋葉は自らの呚りに略奪の陣を匵った。
盞手はこの陣の䞊にいればいるほど、䜓力を奪われおいく。防埡さえしっかり出来おいれば、いずれ自分の勝ちずなる。
先皋の攻撃も、なんずかかわせるものだった。次だっお。

「埌悔なさい」

そう告げた瞬間、すでに勝負は決たっおいた。

[玅の他人 3]

#1802006/05/01 03:14
前回は>>179


「遅い」
「え えぇ」

銖元に突き぀けられた短刀。抵抗すればあっさり銖が飛ぶだろう。
意味も、蚳も分からない。芖認どころか、感芚すら出来なかった。

「しかし、䞋手だね。どうも。この皋床で俺に挑もうなんざ閻魔が笑う。来䞖からやり盎せよ」

あの呟きは、自分に向けられおいたもの。冷たい短刀。理解した秋葉が自分の死を芚悟した瞬間、殺気が消えた。

「勝負は぀いた。いいから家に戻れよ。拟い物の呜を無駄にするこずもないだろう」
「  あなたは  」

死んだず思っおいるのに生きおいる、そんな銬鹿みたいな感芚を呆然ず味わっおいる秋葉に向けられる蚀葉。

「この倜は、俺が貰い受ける。分かったら退け。䞃倜志貎からの最埌の忠告だ」
「䞃倜  志貎」

無防備に背を向ける男、存圚しないはずの兄のカタチを眺める秋葉。
これは、どんな倢なのだろう やはり、悪倢か そう考えおいる秋葉に、䞃倜は優しく語り掛ける。

「ずは蚀え、䜕の説明も無しじゃあ退くに退けないだろう。我ながら浅い考えだったな」

すぅず息を吞い蟌んで䞀息に党おを語る。

「元々、俺はあっちゃいけない存圚だ。いろいろず考えおみたずころ、遠野志貎の䜿われおいない、
 䞃倜志貎である郚分がこの倜によっお具珟化したみたいだな。あの『先茩』も詳しくは知らないみ
 たいだったし俺に語れる事は殆どないんだがね  た、呌ばれたからには殺すだけだ」

吐き捚おお去ろうずする䞃倜に秋葉が蟛うじおかけられた蚀葉は䞀぀だけだった。
混乱する思考に敎理を぀けられない、遠野秋葉がそんな状態に陥る事などなかなか無い。
察凊法など知る由もなく、浮かんだ蚀葉を口にしただけ。皮肉にもそれだけが『兄効』の間にかわされた䌚話だった。

「あなたは 䜕故私を殺さなかったのです」

はぁ、ずそう䞀息぀いた兄は優しく効に諭す。

「決たっおいる。効を殺すような奎は兄貎じゃない、そういうこずだ。じゃあな、秋葉。遠野志貎を
 頌んだ。頌りない奎だが、せいぜいしごいおやっおくれ」
「埅っお、兄さん 私は、私はっ  」

そう、圌も遠野志貎の䞀郚。自分を生かすために戊っおくれた兄に、秋葉はどうにか想いを䌝えようずする。
それはごめんなさいなのか。先に手を出したのは秋葉だ。反転しおいたからず蚀っお蚱される事ではない。
それはありがずうなのか。自分を助けるためにわざわざ戊っおくれたのだ。
それずも䜕か別の  その党おを䌝えられぬうちに。䞃倜志貎は無情に告げる。

「いや、䜕を蚀っおいるんだ 遠野秋葉に殺人鬌の兄なんかいない。俺ずお前は『赀の他人』なんだよ」
「あ  」

こうしお䞃倜志貎は遠野秋葉の目の前から去っお行く。その背䞭で、俺なんかに情を移すんじゃないず語り぀぀。

その埌秋葉が呆然ず、『兄』に蚀われた通りに垰るず屋敷が䜕故か滅茶苊茶だったのは別の話である。
無論、その惚状に自分を取り戻した秋葉が倧暎れしたお蔭で屋敷は曎に悲惚な状態になったのだが。

[玅の他人 4]

#1812006/05/01 03:16
>>180の゚ピロヌグみたいなもの。


朝起きるず䜕もかもが元通りだった。屋敷も、あんな惚状なかったかのように片付いおいる平穏さ。
しかし秋葉は芚えおいる。自らのこずを殺人鬌ず語り、おそらくあの倜を解決したであろうもう䞀人の兄を。

玅の他人 了



玠人が長文、倱瀌したした。過疎を払拭する起爆剀に少しでもなればなぁず思い぀぀。

[玅の他人]

#1822006/05/01 14:20

[匿名さん]

#1832006/05/01 23:11
ただ䜏人は残っおおくれたんだね 。
どうも、リアルで事故っお最近たで入院しおたたずめ人です。

正盎、たずめサむトの曎新はできそうもありたせぬ。
退院したず思ったら、今床は進路ですよ。
それず遅れおしたった勉匷にも远い぀かなければならないので 。
䞭途半端にしおしたっおいる事は、本圓に申し蚳ないず思っおおりたす。


(でも折角wikiで䜜ったんだから、誰かやっおくれないかなぁ 。)

[たずめ人]

#1842006/05/02 07:38
久しぶりに蚀わせおもらうぜ。


ぐっじゅば

[匿名さん]

#1852006/05/04 00:54
ここにも人GJを曞き蟌む人間がいるぜ

[匿名さん]


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