「島の観光客には関東や関西から来る人も多く、団員の中からも『搬送したくない』という声が上がるようになった。僕らが感染して動けなくなると、本来やらないといけない島民の救急搬送ができなくなる」
土庄町消防団豊島分団で団長を務める多田初(はじめ)さん(56)が取材に対し、苦渋の表情を浮かべながら語った。分団は1日に開いた会合で、団員の安全が確保されない限り観光客の搬送を当面取りやめることを決定。2日には町にも方針を伝え、対応を求める申し入れを行った。
分団員は非常勤公務員、「リスク回避の仕組みを」
人口779人(7月1日現在)の豊島には消防署がなく、豊島分団(6班61人)が救急搬送を担っている。要請を受けると車で港に搬送者を送り、チャーター船を手配して総合病院のある島外まで運ぶ。非常勤公務員として1回の出動で1人2000円の手当が町から支払われるが、団員は普段それぞれ別の仕事に従事。多田さんもイチゴ農家だ。
平時なら機能するこのシステムも、新型ウイルスの流行という危機下では別だ。豊島は近年、美術館を中心とした「アートの島」として注目され、毎年10万人以上の観光客が来島。その結果、島外から来た人を救急搬送するケースも増えている。搬送時に接した観光客がもし感染者だったら——。都道府県をまたぐ移動が制限されていない今、感染への不安が団員の中で高まっているという。
土庄町消防団豊島分団で団長を務める多田初(はじめ)さん(56)が取材に対し、苦渋の表情を浮かべながら語った。分団は1日に開いた会合で、団員の安全が確保されない限り観光客の搬送を当面取りやめることを決定。2日には町にも方針を伝え、対応を求める申し入れを行った。
分団員は非常勤公務員、「リスク回避の仕組みを」
人口779人(7月1日現在)の豊島には消防署がなく、豊島分団(6班61人)が救急搬送を担っている。要請を受けると車で港に搬送者を送り、チャーター船を手配して総合病院のある島外まで運ぶ。非常勤公務員として1回の出動で1人2000円の手当が町から支払われるが、団員は普段それぞれ別の仕事に従事。多田さんもイチゴ農家だ。
平時なら機能するこのシステムも、新型ウイルスの流行という危機下では別だ。豊島は近年、美術館を中心とした「アートの島」として注目され、毎年10万人以上の観光客が来島。その結果、島外から来た人を救急搬送するケースも増えている。搬送時に接した観光客がもし感染者だったら——。都道府県をまたぐ移動が制限されていない今、感染への不安が団員の中で高まっているという。