2022年7月22日 17時58分
7年前の2015年「関東・東北豪雨」で鬼怒川が氾濫し、大規模な浸水被害が出た茨城県常総市の住民などが、国の河川管理が不適切だったとして賠償を求めていた裁判で、水戸地方裁判所は、国に対して、原告の一部に賠償するよう命じる判決を言い渡しました。水害に関する裁判で国に賠償が命じられるのは異例です。
2015年9月の「関東・東北豪雨」では、茨城県常総市で鬼怒川の堤防が決壊するなどして、茨城県内で3人が死亡し、13人が災害関連死に認定されたほか、住宅およそ1万棟が水につかりました。
住宅が浸水する被害を受けた常総市の住民など31人は、決壊や越水した2か所について「国の河川管理が不適切だった」などとして、国に対して3億5800万円余りの賠償を求めていました。
これに対し、国は「上流と下流のバランスを総合的に考えながら計画的、段階的に整備を進めていた。河川管理に問題があったとは言えない」などとして、訴えを退けるよう求めていました。
22日の判決で、水戸地方裁判所の阿部雅彦裁判長は、2か所のうち越水した若宮戸地区について国の河川管理に問題があったと認め、原告のうち9人に合わせて3900万円余りを賠償するよう命じました。
若宮戸地区では川沿いの砂丘林が業者の開発にともなって掘削されていましたが、判決では、砂丘林が堤防の役割を果たしていたと認めたうえで「国は安全上重要な砂丘林が掘削されないよう河川区域に指定する義務があったがそれを怠った」と指摘しました。
水害に関する裁判で国の河川管理の責任が認められるのは異例です。