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一部紹介
開成高校野球部の監督がポジションを決める基準は極めて簡単だ。
・ピッチャー/投げ方が安定している。
・内野手/そこそこ投げ方が安定している。
・外野手/それ以外。
向き不向きで決めようとしたら、全員が野球に不向き、ということになってしまう。監督が言うには、「存在してはいけないチームになりかねない」のだ。
ピッチャーに関しては、勝負以前に、「相手に失礼にならないことを第一に考えている」と監督はいう。
「球がストライクゾーンに入らないとゲームになりませんから」
開成高校野球部には送りバントやスクイズはない。そもそもサインプレーがなく、監督は大声で指示を出す。サインプレーをし、スクイズで1点取っても、意味がない。なぜならていねいに1点取ったところで、その裏に相手に10点取られてしまうからだ。
「送りバントのような局面における確実性を積み上げていくと結果的に負けてしまうんです」とは聡明なる監督の弁である。
そんな開成高校野球部の戦略は以下のようなものだ。
まず、1番から6番まで、できる限り強い打球を打てる選手を並べていく。もっとも強い打者は2番。そして、ひたすら強振する。一番チャンスがあるのは8番、9番からはじめるイニングで、彼らがうまいことヒットやフォアボールで出塁した場合だ。下位打線を抑えられなかったことで動揺する相手ピッチャーに1番が強振して長打、そして最強の2番打者が打つ。弱いチームに打たれたことにショックを受けている相手を逃さず、後続がとにかく振り抜いて連打を食らわせして大量点を取るイニングを作り、そのままドサクサに紛れて勝つ、のだそうだ。
超進学校の勝てるセオリーは「ドサクサ」なのである。そして、実際そうやって勝ち上がってきた。