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平沢は選挙演説で訴えた。
「いま自民党のことを一番思っているのは、わたしだ。野中幹事長から、『自民党の悪口をいうなら出ていけ』といわれたが、
なぜわたしが出なければいけないのか。公明党のいいなりになっている野中幹事長が、公明党にいけばいいじやないか。
わたしは地元の自民党支持者から、出ていけ、といわれたなら出ていく。
しかし、自民党支持者のみなさんは応援してくれている。みなさんが応援してくれているのに、なぜわたしが出なければいけないのか」
聴衆からは大きな拍手が湧き起こったが、平沢が公明党の仕業と思つている嫌がらせはすさまじいものがあった。
車を尾行されたり、ボス夕ーを焼かれたり……。街頭で聴衆と握手をしているとき
、いきなり胸ぐらをつかまれる暴行も受けた。以来、警察は平沢にボディガードをつける。
平沢の選挙区の家庭すベてに怪文書もバラまかれた。深夜一〜二時間の間である。
この違法行為を誰かの指示で一斉にやれる組織が行ったのだろう、と平沢は思った。
報道番組『ニュースステーション』が、ある時、平沢の立っている東京一七区を取り上げた。
対立候補の山口が、「平沢候補者は、金をばらまいて、それで票を買っている」と演説する。
悪質な選挙妨害と激怒した平沢は弁護士を通じてテレビ朝日に抗議し、『二ュースステーション』は後日、それを紹介した。
山口にも内容証明を送る。
「金をばらまいて票を買っているとは、どういう意味か」
「週刊誌に、その種の記事が出ていた。また町内会行事のときに、金を包んだことが新聞に書かれてあった」
こんなアヤフヤな答えに、平沢はまた内容証明を送った。
「あなた方の考えはわかった。週刊誌などに書かれたことが事実だというのなら、
週刊誌には、創価学会の池田大作さんのことも書かれている。これも、すべて事実だということでいっていいのか。