もしや使い方間違えました・・・？無理して難しい言葉使おうとするからＯＴＬ
前回は
>>869です。
「ふう、慣れない場所ってのも疲れるな」
ベッドに体を沈ませる。さすがに遠野の屋敷ほどのでかさを柔らかさもないが、一般人の俺にはこっちの方がよっぽど楽だ。
ポケットからナイフを取り出す。
冷たくて鋭い銀色。俺の顔を写すほどに綺麗な刀身。錆も血の匂いもない。
こんなもので、俺は一体何をするというんだ。
俺は弓塚さんと話す目的で来たんじゃないのか。
ただ顔を見たかっただけじゃないのか。
なのに・・・このナイフで———弓塚さんを刺すのか？
心の底では、貪欲な吸血鬼になって人を餌にしている弓塚さんを殺したがっているのか？
「考えるのはよそう」
ナイフをしまい、天井を向く。
考えても答えが出るわけじゃない。いや、答えを出したくない。
もし自分の深層から出てきた答えが残酷なものだったら。そう思うと、考えたくない。
寝よう。もう随分な夜中だ。明日の朝も早い。
今日は風もなくて静かな夜だ。きっとすぐに眠れる。
「こ—夜中——何——」
ぶち。びちゃびちゃ。
何か、声と音が聞こえる。男の声と、液体を派手にぶちまけたような音。
「お前———何——だ！」
びちぃ。どすびちゃ。
さっきとは違う声の主が違う。液体と共に重いものが地面に落ちたような音。
「近付———付くと撃つ——！」
ぱんぱん！どす、ごろん。
また違う声。銃を発砲したような音と固いものが地面を転がる音。
なんだ・・・？
こんな夜中に、何をしているんだ。こんな時間に出歩けるのなんて警察ぐらいしかいない。
けれど、恐らくそう遠くないところに。何かがいる。
