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🪓 メルティブラッド攻略・地方


No.654720
合計:
#217
し ま っ た 、 ア ン カ ー 残 す の 忘 れ た !
前回は>>216


「っ……案外にダメージ蓄積が大きいな。ま、一夜限りで使い尽くせるくらいが丁度といったところか」

秋葉をさらっと追い返してみたものの。
未だ自分がどこへ行けばいいのか分からず、溜まったのは情報じゃなくダメージだけという体たらく。
とりあえず足を進めてみてはいるものの…………。どうやら思索に耽りすぎていたようだ。
あれだけ大きな戦闘の気配を見逃すとはどうかしている。

「こっち、か」

バケモノ対バケモノ。正にその呼称が相応しいほどの闘気。
いくら死線が見えるとは言え。いくら戦闘経験を積んでいるとは言え。踏み入るのが躊躇われる空間。

「ハ……冗談」

経験を積んでいるからこそ分かる恐怖、そしてそれに伴う快感。

「行くしかないよなぁ?」

先程秋葉に感じたものなんかの比ではなく。
七夜志貴に満面の笑みを浮かべさせるほどの惨殺空間がそこに待っているのだから。
こうして七夜志貴は公園へと踏み入った。


感じた事のある気配が二つ。そして、見たことがあるはずにも関わらず全く違う気配が一つ。

「アルクェイド……レン……。ここまでは分かるが。
 ネロ・カオスとはなんてこったよ。多分、あいつも俺と同じく、この怪夜製か」

何やら会話が繰り広げられているようだが、ここからでは聞こえない。
少し近づいてみると……。

「私の持ち物に手を出そうだなんて……良い度胸じゃない、たかだか二十七祖程度が。
 笑わせないでくれない?」
「む……それは失敬した、真祖の姫君」

驚くべき事に、先程の戦いはレンとネロによるものだったらしい。
流石に100年クラスの使い魔といったところか。

「しかしてその殺気。
 本当に貴公はアルクェイド・ブリュンスタッドの名を持つものなのか?」
「当たり前じゃないの……私以外にアルクェイドなんて居ない。獣で構成されてるだけあって、頭が悪いわね」
「……まぁいい。どうせ貴公も私に喰われてその獣となる身だ。先程の珍しい生物は逃してしまったが……
 代わりに網に掛かったのが真祖とは恐ろしき偶然よな」

すっと。凶悪すぎる視線が666の命を内包する混沌を睨む。

「目障りな上に、耳障りよ、貴方?」

そして告げられる言葉はただ単純な死刑宣告。

「消えなさい……!」

そして戦いが始まる。人外vs人外。冗談じゃないレベルの戦いがそこで……

「ん……レンはどこに行ったんだ?」

そう、いつの間にか消えている黒猫の姿を探す。あの黒猫が理由も無くこんな夜に出歩くとは思えない。
一体、何が原因か? 戦いはその間も凄絶に続けられていて。

「五月蝿い……全く集中できないじゃないか」

そう無意識に愚痴って戦いの場から離れる。音が遠ざかり思考がクリアになった。


瞬間で思いつく。あの黒猫は、怪夜を終わらせようとしている。
それ以外にあの平和的な黒猫がネロと戦ってまで。
いや、それ以上にあの律儀な黒猫が主人の下を離れてまで。
やろうとすることなど思いつきもしなかった。

「二の足を踏むのか、レン? 冗談にも洒落にもならないぜ」

一度、レンは志貴を生かすために殺されている。
それも、七夜志貴(じぶん)が殺されたのと同じ相手に。
そう、もしかしたらあの鬼に巡り遭えるかも知れない。
僅かに芽生えた心配と言う感情をかき消して気分を昂ぶらせる。

「となると、猫探しか。やれやれ、このしがらみだらけの肉の檻に降りて、
 殺人貴のやることが猫探しとは……救われないな」

そうして再び歩き出す。何より、その歩調にだけ焦りを滲ませて。


「随分とあからさまに……怪しい空気だな。まぁいい」

そう、なにしろそれは怪夜の中心なのだから。白い空間がひっそりと、公園の草葉の陰。

「縁起(演技)の悪さって意味じゃ最高の場所じゃないか。誰だか知らないが、良いセンスしてるよ」

躊躇い無くその空間に足を踏み込んでいく最高の役者。

「ま、精々揉んでやるとするか」

─────walk in 『the night actor』 >>196-201


[ 『七』人演舞 四 舞台への階段 ]
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