あ、朝まで粘ったかいがあった…………前回は
>>222
暫らくしてふと、七夜志貴の気が向いた。
こんな告白は自分と同じ存在に聞かせるくらいしか使い道がないだろう。
「これはたんなる独り言なんだが……。
遠野志貴の性質とか、七夜志貴の一面とか言ってたがな、実は違うと思うんだ」
「…………」「…………」
黒はいつもの通り、白は話を促すかのように沈黙。七夜は続ける。
「この変な甘さは、『志貴』が本来。生まれたときから持ってるもんなんじゃないかってね。
そうでもないと俺が今夜一人も殺していないなんて、馬鹿な事が起きるわけが無い。
たかが一面、中てられただけで。五人も見逃すなんて有り得ないんだ。
参ったね、この志貴って名前からお別れしなきゃこの甘さからも逃れられないのか……」
反応が無い。正体不明の不安に志貴は戸惑いつつ。
「てわけなんだが……なんだ。寝てるのか」
これまた正体不明の安堵。どうかしてしまったのだろうか、七夜志貴は?
すべて、怪夜のせいにすることにした。
「殺人貴相手になんでこんなに無防備かね……ったく、殺す気も起きはしない」
未だ言い訳がましく殺さないことを告げて。七夜志貴は立ち上がる。
このままだと、猫達のように眠ってしまいそうだったから。
眠気は、弓塚さつきを救ったときからとっくに覚めていた。
まだ動けるのに眠るのは勿体無い。
どうせすぐ消える身なのだ、せいぜい何かやらかしてから消えたい。
それがこの世に対する未練だと、七夜志貴は気付かない。
「ま、血が少ないからあんまり無理は効かないんだがね。
おやすみ、レン。望まれない役者は消えるとするさ」
先程はできなかったから、と言うように肩を竦めて。
「ま、これが俺に相応しい終幕か」
こうして七夜志貴は再び歩き出した。その背中には、何かをやり遂げた達成感のようなものが漂っていた。
─────Go to the 『stage of the demon killer』>>???-???