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🪓 メルティブラッド攻略・地方


No.654720
合計:
#244
ちと長い間放置しすぎましたが・・・>>74の続きです。
季節外れですがw
 
屋敷に明かりはない。音もない。
厳しい寒気と一色の闇だけが屋敷を覆っている。
ゴクリと生唾を飲み込み。屋敷のドアを開ける。
 
 
ギシリと重厚な軋みを上げて、木製の巨大な扉が開く。
獣の口にでも飛びこむのかと錯覚する。毎日通っている扉なのに・・・
やはり、なにかがおかしい。
 
 
やはり軋みを上げて、開けた扉は口を閉める。
静寂。冷気。漆黒。閑散。
廃墟のようだ。人の気配どころか生物の呼吸さえも感じ取れない。
 
眼鏡を外す。黒一色の視界に、はっきりと違う黒のひび割れが見える。
ポケットに入っているナイフを確認。いつでも刃は出せる。
買い物してきた袋を置く。本来なら玄関なぞに置こうものなら秋葉が怒るのだが、今はその怒った顔を見れるのがどれだけ嬉しいだろうか。
 
 
屋敷内を徘徊する。人気はない。
やはり、あそこに行くしかないか・・・
 
深呼吸をし、息を整える。喉は渇いてカラカラだ。吐く息は白いが、一切の闇がその白を飲み込む。
眼鏡を外しているから頭痛がする。手はかじかむ。足は震える。
自分の家だというのに、これだけ緊張をするのは。
遠野家に帰ってきて、秋葉と会うとき以来だろうか。
扉を開けたらクラッカーがパーン。みんなで笑ってメリークリスマス。
そんな希望的観測な妄想をして。食堂のドアを開けた。
 
 
飛び込んできたのは、クラッカーの音よりももっと安心できるような、聞き慣れた声。
「はあい志貴♪メリークリスマス。どう、私の衣装。いいでしょこれ?さっき、作ったばかりなのよ」
暗くてよくわからないが、赤っぽい服を身に纏っているのはわかる。サンタクロースというには、程遠いが。
 
「なんだ、アルクェイドか。家でパーティーするのを聞きつけてきたのか。食い意地が張ったというか祭り好きというか」
「そうね、食べるのは好きだしパーティーも好きなの。この衣装だって、わざわざ用意したんだから」
なにかが、おかしい。会話が噛み合ってないというか。
いつものアルクェイドでは、ない。
 
「衣装?そういえば、さっき作ったって・・・」
「そう。材料は、これよ!」
 
重い音を立てて、床にアルクェイドが投げた物体が転がる。
 
 
「っっっ!!!!????」
 
「アハハハハハハ!すごいでしょ、自作なのよこれ!」
 
床を転がった物体。それは紛れもなく。
 
もともと赤い髪がさらに紅く染まり。
体の至る所に深く鋭い爪痕がついた。
琥珀さんだった。


[ 匿名さん ]
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