これまでの慣例として甲子園は球場整備等の面で「少なくとも明け渡しに数日が必要」とされてきたが、複数の高野連関係者の見解によれば「実際に神宮球場でナイター前に東都大学リーグの試合が行われる例もあり、急ピッチで整えれば甲子園でもダブルヘッダーは実務的に可能」という。ただ決勝戦が白熱した展開となり、今年のセンバツから決勝でも導入された延長13回以降のタイブレーク方式にまでもつれるなど試合時間が長引く可能性もある。しかも決勝戦は試合終了後、表彰式が行われることから多くの時間を費やさなければならない。それならば、あらかじめ「早朝からプレーボールをかければいい」という大胆な意見もある。
[匿名さん]
一部の関係者は「応援を制限するなどの制約も付帯しなければいけなくなりそうだが、例えば午前6時の試合開始が可能ならナイターとのバッティングを懸念する時間的問題はよほどのケースにならない限り解決する。それに加えて極端な話、何が何でも多くの学校が2学期始業式となる9月1日に間に合わせることを前提とするならば、表彰式の終了後の31日中に両チームが地元へ帰る強行日程も全くの不可能ではない」と語る。
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前代未聞の早朝野球プランだが、想定外の事態が続く今夏の甲子園では何が起こっても不思議ではない。
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日本文理、そして県勢の17年以来の初戦突破はならなかった。敦賀気比(福井)に6-8で敗れた。エース田中晴也投手(2年)は甲子園のマウンドで自己最速の147キロをマークするが、8回を投げて15安打8失点。打線は4回裏に6番玉木聖大右翼手(2年)の左翼への2ランで2点を返すなど、最後は2点差まで追い上げたが、及ばなかった。今夏の悔しさと甲子園にたどり着いた闘志は田中、玉木ら2年生が受け継き、来春のセンバツを目指す。
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意地はみせた。148球の熱投の中に、田中は悔しさと手応えの両方を感じた。8失点も被安打15も、自己ワースト。「初回、2回の失点が大きかった」。ボール自体は悪くなかった。それ以上に敦賀気比打線が甘い球を逃さずに打ってきた。「すべての部分で詰めが甘かった」。昨秋、今春の北信越王者に甲子園の大舞台で洗礼を浴びた。
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それでも成長は見せた。初回に自己最速を3キロ上回る147キロをマーク。「3年生と長く試合をしたいという思いだった」と気持ちを乗せた速球だった。
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8日に大阪入りし、雨天で6日も試合が延びた。田中はシート打撃に登板した翌日にブルペンで本格的な投球練習を行うなど実戦感覚を忘れないようにしてきた。7月27日の県大会決勝で新潟産大付に8安打3失点、9奪三振で完投勝ち(7-3)してから24日ぶりの試合。新潟にいる本間忠コーチ(44)からは「肩とひじが軽くなり過ぎないように」とアドバイスを受けた。4年ぶりの初戦突破はならなかったが悪条件の中で積み上げたものは見せた。
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打線も粘りを見せた。9回裏に2点を奪い、追い上げた。6回途中でマウンドを降りていた相手のエース本田克(3年)をひきずり出した。玉木の2ランを含む14安打。目指していた“打ち勝つ”ことはできなかったが、ノーシードから県大会を勝ち上がった打力は実証できた。
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「支えてくれた人たちへの感謝を込めて試合をする」。渡辺主将はことあるごとにこう言っていた。大阪入り後、グラウンドで練習できたのは3日間だけ。八幡商(滋賀)や、日本生命、パナソニックと大阪市内の社会人チームなどの室内練習場を借り歩いた。コロナ禍で甲子園とそこにつながる地方大会が中止になった昨夏、県独自大会で準優勝だった当時の3年生。自校に感染が広がり今夏の県大会の出場を辞退した最大のライバル、中越。周囲の協力と甲子園を目指せることの大切さを実感しながら立った経験は財産になる。
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鈴木崇監督(40)は「粘り強くつなぐところは後輩たちが受け継いでいかなければ」と話した。田中、捕手の竹野聖智(2年)、玉木とスタメンには2年生が名を連ねた。「ここで勝つ姿を見せたい」と田中。この日の敗戦が日本文理の野球をグレードアップさせる。
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