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関係者によると、男は5月中旬頃、木村さんのツイッターの投稿に対し、「生きている価値あるのかね」「いつ死ぬの?」などと複数回にわたって返信の書き込みを繰り返し、木村さんを公の場で侮辱した疑い。調べに容疑を認め、「番組を見て嫌いになり、心を傷つけたいと思った」と供述している。
木村さんは昨年10月から、男女の恋愛模様を映す「リアリティーショー」とされるテラスハウスに出演。今年3月31日、動画配信サービス「ネットフリックス」で配信された放送回で、共演男性に怒りをぶつける場面があり、ネット上で視聴者から中傷が相次いだ。だがフジテレビは5月19日、同じシーンを番組で放送。木村さんは4日後、「毎日100件近く率直な意見。傷付いたのは否定できなかった」とツイッターに書き込み、自ら命を絶った。
警視庁は遺族から相談を受けて捜査を開始し、ネットフリックスの配信後の2か月弱で木村さんのツイッターに投稿された誹謗中傷が数百件に上ったことを確認。大半は削除されていたが、データを復元するなどして摘発対象を絞り込んだ。男は6月、「自殺に追い込んだ一人です」と遺族にメールを送って謝罪していた。
遺族は7月、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に人権侵害を申し立て、その後、審理入りが決まっている。
■被害深刻、国が対策強化
ネットの誹謗中傷は、各国で社会問題化している。被害が深刻で、名誉の回復も難しいことから、政府は対策を強化している。
総務省は8月末、木村さんのケースなどを踏まえ、被害者がSNS事業者などに求める開示情報の対象に、投稿者の電話番号を加える省令改正を行った。11月には、同省の有識者会議が、被害者の負担を減らす対応案を策定。投稿者特定のためにSNS事業者とネット接続業者に2度起こさなければならなかった裁判を、原則1回で済むようにする制度案を示している。