📔 日記･今日の出来事

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阿修羅の日記の主には気をつけて下さい。

庭に古い梅の木がある

祖母の兄が生まれた時に植えられたモノで
数年後からは毎年白い花をつけていたらしい

だが、私はこの梅の花を見た事が無い


昭和44年
祖母の兄が出征した。まだ二十歳の学生だった
陸軍の特別操縦見習士官へ志願したのだと言う

「飛行機に乗るんだ」
胸を張る兄と父のシカメッ面
そして不安そうな母の顔を祖母は覚えていた

翌年
梅が白い花を咲かせる頃
兄が突然帰郷した。数日だけの短い滞在だった
明日は帰るという晩。母親は一人で泣いていたらしい

「特攻」
その言葉と兄が結びついたのは
戦後も随分と経ってからだと祖母は言った

最後の晩
子供ながらに何かを察していたのか
なかなか寝付けなかったそうだ

夜中、時間は解らない
何かを感じて障子を開けると
開け放った縁側に兄が座っていた
庭の梅を眺めているようだった

祖母は声を掛けようとして、思わず障子に隠れた
兄は一人ではなかったのだ

綺麗な人だった……

祖母が懐かしそうに眼を細めると
目じりの皺がキュっと深くなった

誰なのか解らない
見た事の無い若い女の人だった

ソコだけ、時間がユックリ流れていた
穏やかな顔で、囁く様に話していた
微笑み合い、見つめ合っていた

祖母はいつの間にか眠ってしまっていた

穏やかな兄の顔を見て、安心したのかねぇ……
祖母は梅の木を見やった

翌朝
村中の人たちが万歳で見送る中、兄は出発した
いくら見渡してもあの女の人は居なかった

その夏。戦争は終わった
そして兄は、帰る事は無かった

それ切り、この梅は咲かないんだよ

あの女の人は
この梅の木の「花」だったんだねぇ
きっと、兄の後を追ったんだよ

庭の梅を見る祖母の目は
懐かしさと愛おしさに満ちていた

(´；ω；｀)煎餅たん
ごめん

煎餅たんのスレでごめんね

>>287
なんのなんの！

気にしないで。

遠慮せずにまた来て下さいね！

『オイラは…』

僕は
見知らぬ街で途方に暮れていた
そして、そのオジサンに出会った


ん？見ない顔だが新入りか？
まだ若いのに、苦労したなぁ
まぁ、出合ったのも何かの縁だ、宜しくな

ココは暮らし易い所だが
気を付けなきゃイケナイ事も有る
大袈裟に言えば生きる方法ってヤツさ
ついて来な、色々と教えてやるよ

えっ、ココは長いのかって？長いな
ここに来る前かい？忘れたよ、ソンな昔の事は

オジサンは空を見上げて伸びをした

あぁ、いい天気だ
小春日和ってヤツだな
こんな日は日向ボッコが一番だな
でもな、ガキには気を付けなきゃいけない
アイツら加減ってモノを知らんからな

おっと。噂をすればナンとかだ
残念だが場所を変えようか
アイツ等を見たら取り合えず逃げるんだよ
関わらないに限るからな

そうだ、時分時だし飯でも行くかい？
この先に定食屋が有るんだよ
なぁに、心配は要らねぇよ
ソコのおカミさんがイイ人でな
顔出すと、ナンか食わせてくれるんだよ

ほら、ソコだ
あぁ、表はイケナイ。裏からだよ
オイラ達ゃ真っ当なお客じゃ無いんだ
そこんトコロはワキマエ無きゃいけない

「おや、来たね。ナンだい、今日は連れが居るのかい」

なっ。いい人だろ
さぁ食いな。汚さず散らかさず
残さずキレイに食うのが礼儀ってもんだ

さて、人通りも増えて来たな
ココらは夜の方が人が多いんだよ
まぁ追い追い教えてやるよ……

そして数日後

よぉ！
すっかり板に付いたじゃねぇか
ドウだい、ヤッテけそうかい？

じゃ、ココで暫くヤッテ見な
オイラは他へ行くよ
なぁに、気にするこたぁ無ぇさ
長く居すぎた位だ、潮時ってヤツよ

じゃあな！上手くヤンナよ…

そう言って
黒い「ノラ猫」は何処かへ行ってしまった

おヒサシぶりです……

随分と放置してしまいました
アッチが賑やかになって
なかなか捻り出す時間も無くて
……スイマセン。言い訳です

>>290
ママちゃん
気にする事は無いよ

と言う訳で
本文は次レスです！

平安の頃から
大きな寺院には「稚児」と呼ばれる剃髪しない少年の修行僧が居ました
歳は12〜18才位と言われています

中でも名前に「…丸」と付く稚児は
神聖視された特別な稚児でした
「牛若丸」は有名ですネ

上流階級の子弟で行儀見習いに預けられる「上稚児」
頭の良さを見込まれて僧侶に従う「中稚児」
そして「下稚児」は
芸などの才能が見込まれて雇われたり
腐敗僧侶に売られる、所謂、男色の対象です



さて
ある寺に「外道丸」と言う稚児が居ました
その名前に反し、外道丸は絶世の美少年でした
お坊さんはおろか女人からの恋文は数知れず…
しかし、その一切をきっぱり断わります


……仮にも私は修行の身
仏の道を求めてお山に入った筈なのに
お山（寺）は、口にするのもオゾマシイ
身震いする程に醜い所だった

何が御仏の道だ
これが、こんなものが御仏の道で有ろう筈が無い
私が求める物は、もっと美しいモノの筈
ここは、私の居るべき所では無い

それに、この文は何だ
女人が、その立場も弁え無いばかりか
このあからさまな文は何だ
あぁ、触る事さえ汚らわしい

全てを捨ててしまおう
穢れを祓い、やり直すのだ


ある夜
外道丸は一抱えもの恋文を釜戸へ押し込み火を点けました

紅蓮の炎に焼かれ
汚らわしいモノは灰燼と化して行く
立ち昇る黒煙は夜の闇と同化する

蠢く闇は、悪魔のように美しかった

闇に誘われ伸ばした指先から腕へ
スルスルと漆黒が纏わり付く

体中が闇に抱かれると
胎児に戻った様な安堵感を感じた

そう、私は生まれ変るのだ
本当の自分へ……

ゆっくりと闇が去る
新しい私が産まれる……

そこに立っていたのは一匹の「鬼」

こうして史上最強・最悪の「鬼」が生まます

名は『酒呑童子』

酷い雨だ
なにもこんな晩に。と思う

雨の中を出かける煩わしさより
誘いを断わる方が面倒臭かっただけなのだ
ソレだけの事だ

それにしても酷い雨だ
傘を差してはいるが
ズボンの裾まですっかり濡れている

喧騒を避けて通りを川沿いへ折れると
傘を叩く雨音しか聞こえなくなった

街灯に照らされた川は水嵩が増し
真っ黒な流れが生き物の様にうねっている

黒い流れを見ている内に足が止まった
ボンヤリと流れを見ていると
色んな記憶が浮かんでは消えた

成功・失意・幸福感・喪失感・将来
全てが綯い交ぜになり、胸いっぱいに広がった

溜息を吐き出すと、胸の中は空になった

思い描いた将来とは少しばかり違ってはいるが
それでも、悔い無くやって来たつもりだ

……本当にそうなのか
そう思いたいダケではないのか

ふうぅ、何を今さら……

何か、気配を感じて目を上げる
空になった胸の奥に、何かが入り込んだ気がした

何かがジワジワと胸の中に広がった

呼ばれる様に川面に目を落とす

あの流れに、身を任せて見るか……
そうすれば、開放される

黒い流れが誘う。胸の中のモノが騒ぐ

一歩踏み出せば済む。簡単な事だ
ソレだけで、救われる

少し前屈みに、半歩、前へ出た

……あと半歩

その時、右の肩を摑まれた
弾かれた様に振り向くと、見知った顔があった

その友人は
私の肩を掴んだままジッと目を覗き込んだ
一度肩を揺すり、顔を近づけると
「オイッ」と半ば怒鳴った

「……ヨォ」と、私は間の抜けた声を出した
その時、胸の中に広がっていた何かが
すーと消えた

雨は止んでいた


「通り者」とも「通り魔」とも言われ
コレに憑かれる事を「魔が差す」とも言う
フとした心の隙間に入り込み、誘うモノ

なるほど！

UPｵﾂｶﾚｻﾏです、煎餅ｻﾏ♪あっちが賑やかすぎて少し心配してました…また気が向いたらUPしてくださいね！楽しみに待ってます♪

今日は「パス」入りで……

>>294…どうも！
>>295…励みになるお言葉。アリガトウございます！

向こうも落ち着いたようなんで？
何か書かなきゃなぁ…と思って書き出したんですが
途中になってしまいました……

何時もの様に「その１」と言う事で……
続きは明日にでも（速ければ）投稿します



…『川姫』…

畑仕事が一段落した夕暮れ時
水車小屋に集っては四方山話を魚に酒を飲むのが
何も無い村の若い者、特に若い男達の楽しみの一つだった

それは去年の今頃の事だった
何時もの様に見知った顔が揃い、酒も進んだ頃
小屋の外、水車の脇に若い娘が立っていた

「河姫だ」
そう言ったのは小吉だった

「見るな。顔を伏せろ」
兄貴格の長治が叫んだ

河姫はとても美しい娘の姿で現れ、見た者の心を奪う
そして異界へ連れ去るとも、川の中へ引き込むとも言われていた

しかし、難を逃れるのは難しい事では無い
顔を伏せ、息を殺していれば良いのだ
そうすると、川姫は姿を消すのだと……

頃合いを見て顔を上げると、小吉の姿が無かった
村人総出で探したが、草履一つ見付からなかった



年が開け、夏が過ぎる頃になると
以前と変わらず水車小屋に集まり酒を飲んでいた

顔ぶれの中に小吉は居なかったが
その事を口にする者は誰も居なかった

若者が一人
魔物に魅入られて姿を消した事は事実だったが
同時に、平穏無事を大事とする村の禁忌にもなった
誰も彼も、小吉など初めから居なかったかのように口を噤んだ

そして、何事も無かったような平穏な日々が続いていた

……つづく

川と河どっちなの？

>>297
今晩は！

アワワワ・・・ホンマやねぇ
寝惚けてたのか？？

見直したツモリなんだけど

どうもゴメンなさい！

「川」の方でお願いします

続きは今書いてますが、苦戦中！

一晩置いて、朝から見直して…

明日の早朝には投稿予定です

小吉が居なくなって一年
事件が村の禁忌となった今、その事を口にする者は居ない

でも……何か、スッキリしない
オイラの小さな疑念は、時が経つにつれ大きくなっていた

「川姫」は、村の者なら知らない者は居ない言い伝えで
コレまでにも、魅入られて姿を消した男が何人か居るのだと言う

だがそれも、年寄りが「その昔…」と言うだけで
何の何某と言う名前までは聞いた事が無い


あの時
川姫だ…と最初に言ったのは当の小吉だ
そこが、引っ掛かりの取っ掛かりだった

この世は天然自然の理（ことわり）で成り立っている。と聞いた事がある
妖怪が、自然の理の範疇だとは思えない……

だいたい、妖怪と言うモノが本当に居るのだろうか

ならば
あの事件から「妖怪川姫」を消してみよう

川姫だ、と小吉が言った
それを聞いて、顔を伏せろと長治が言った
皆が顔を伏せ、息を殺した
そうだ。消えた小吉以外、誰も川姫を見た者は居ない

顔を伏せて息を殺したが
誰かが小屋へ入った気配も無かった

と言う事は、小吉は自分から小屋を出たのだ
小屋を出て、そのまま村を出たのだ

あぁ、そうか
小吉は、親や兄弟が住む村を捨てたのだ
何か、余程の理由が有ったのだろう


誰もが納得し、諦めるしか無い方法
そして、追われる心配の無い方法を考えたのだ

それが「川姫に連れ去られる」と言う方法だったのだ

多分、長治の知恵だろう
小吉の苦難を聞いた長治が、事を丸く治めるために
村に伝わる「川姫」を呼んだのだ

長治に質しても何も答え無いだろう
例え何かを聞けたにしても、もはや詮無き事だ

小吉は、何処かで達者で居るに違いない
今となっては、そう願うしかないのだから

……おしまい。

う〜ん、イマイチでした
ゴメンなさい！

20点…(._.)

(-ω-)煎餅たん

通報しよう

うちの荒らしもひどいけど
まじでひどいよ

中傷してる匿名は通報しとくね

せんたωめっけ

むちむちしてゆまゆゆ似の処女が色情魔の坊主と闘う日本昔話あゆとぃぃなちう

>>301
ママちゃん。
ここ何日か見ないけど、大丈夫かいな？

私も、スルーしたり、反応してみたり
イロイロやってみるけども
結局「完全スルー」しか無いですかねぇ

スレの中だけならまだしも
わざわざ別スレまで立てるから困ったもんだ

私は「街」にまでヘンテコなスレ立てられてますよ
他のスレにレスすればくっ付いてくるし
迷惑かけそうなんで、気軽にレスも出来ないデスわ


>>302
どっひゃぁ〜！！
みったんじゃないですかぁ！

色っぽい話は苦手なのよねぇ……って言うか
そんな話は有りません！…ん？私が知らないダケか？



また暫く放置してますが
次回のお話も、鋭意思案中です！
前回のがワレながら酷かったもんで……

とりあえず、返レスだけ…でした！

これいったいなんのこーなーやさっぱりわからんぞ。ちょうぶんでいみなしことばがおおすぎるよんでいられん。ちょうぶんでおもしｌろくなない。

星明りの夜道を暫く歩くと
朽ちかけた土塀が提灯の灯りに浮かんだ
土塀の奥は廃寺で、今はすっかり荒れ果てている

寺を突っ切って森を抜ければ、随分と近道になるのだ
何度か通った事は有るが、夜に通った事は無い

人一倍怖がりのクセに
この晩に限って森を抜ける気になったのは
きっと酒の所為だったのだ

崩れた土塀を乗り越え、小走りに境内を抜ける
土台だけになった鐘楼の脇を過ぎると
件の森が、見上げ程の黒い陰になって覆い被さって来た

さて、森を抜ける小道へと踏み込んだはいいが
昼なお暗い森の中、夜ともなればまさに闇だ
提灯の灯り程度では、足元を確かめるのが精々だった

闇の深さと心細さで、すっかり酔いも冷めていた
急かされる様に早足が小走りになった頃
不意に、妙な感覚がして足を止めた

闇に目を凝らすと
目の前に、闇より黒い何かがあった
何かが浮いている、いや、ブラ下っている

まさか……

誰かが首を吊ってブラ下がっているのかと思い
恐る恐る提灯をかざすと……

「馬の首」がブラ下がっていた

腰の力が抜け、へなへなと座り込んだ

何だコリャ……

宙に浮く「馬の首」
子供の悪戯にしても性質が悪い

気を取り直して立ち上がり、ソロソロと提灯を近づけた
作り物か？ それにしても良く出来ている

馬の首をシゲシゲと眺めていると
馬の目がギョロリとコチラを向いた
そして、歯をむき出して「いなないた」……



これは「さがり」と言う妖怪の一種です

ただ脅かすだけと言うと、何と無く間が抜けてますが
実際に夜道で出くわすと、これは怖いです

「馬の足」がブラ下る地方もあったり
狸が薬缶に化けてブラ下がる
「薬缶吊る」と言うのも居ます

夜道は、周りに注意しましょう！
と言うお話でした

>>304キミには理解し難い事ばかりだからね

おはようございます！

随分と長い間放置してしまいました

もしかして、読んでいてくれる人がいたら
申し訳有りませんでした

今年最後のお話を次レスに投稿します！

それは
末の娘が三歳になったのを期に思い切って建売を買い
新しい生活が始まった、最初の日だった

引っ越しの始末も粗方終わり
ヤレヤレと、私はソファに腰を下ろした

女房が最後の段ボール箱を抱えて行くと
箱のあとに……婆ちゃんが座っていた

末娘が生まれるのと入れ替わるように亡くなった婆ちゃんが
新しい我が家のテレビの横に座っていた

自称、霊感は人一倍と言う女房が全く気付かない
子供達は、婆ちゃんを通り抜けて走り回っている
だが確かに、婆ちゃんは座っている

その夜、家族が寝静まった頃
私は婆ちゃんに向かい合って座った
なぜココに居る？
成仏して無いのか？
婆ちゃんは私が見え無いかのように
無表情にただ座っていた

幾ら何でもリビングのテレビの横は目に付き過ぎる
と言っても、見えているのは私だけなのだが

何とか退いて貰おうとアレコレやっている内に
婆ちゃんに触れる事に気が付いた
女房も子供も通り抜けているのに……

仕方が無いので、私は婆ちゃんを抱え上げた
重さを感じなかったが、考えないようにした

そして、婆ちゃんを押入れに仕舞った
婆ちゃんが睨んだ気がしたが、気のセイだろう

一先ずはコレでよしと
リビングに戻ってタバコに火を点けた時
婆ちゃんが座っていた辺りに、真っ黒な穴が開いているのに気が付いた

訳が解らず穴を眺めていると
穴の奥から……出てきた
モゾモゾ…ウネウネ……
コレばっかりは見た者でないと解らない

魑魅魍魎とはこう言うモノか
身の毛もヨダツとはこう言う事か……

婆ちゃんがソコに座っていた意味が解った

私は婆ちゃんを押入れから担ぎ出すと
元の場所、穴の上に座らせた

婆ちゃんが少し笑った。ように見えた……


お終い

皆さん、良いお年を！

長文でどれもこれも全く全く読み気になりません。もっと工夫をしろ。頭を使え。

雨は本降りになった
ずぶ濡れになっても、家に帰れば何とでもなると
雨の夜道を走り出した

出掛けには振りそうな空模様だった
破れ傘が一つ有るには有るが
ままよ、と家を出たのだった

何とか長屋へ駆け込むと
何はともあれ火を起こし、鉄瓶を掛けた

足を拭き、濡れた着物を着替えている時
三和土に、傘が居た
正確には「カラカサ小僧」が居た

大きな目玉が一つ、じっとコチラを見ていた
目の左右から細い腕が生えている
目の下に鼻は無く、すぐに口だった
赤い舌が出たり入ったりしている
一本足で一本歯の高下駄を履き、器用に立っていた

「ナンだおめぇは」
カラカサは、下を向いた
何と無く悲しそうなのが解った

「おめぇ、もしかしてウチの破れ傘か」
目玉が少し大きくなった。正解だったらしい
古い傘なのは判っていたが
化けるほど古いとは知らなかった

湯が沸いた。カラカサの分まで茶を入れたが
お化けが茶を飲むのかは解らない

「上がりなよ」と声を掛けた
片足に履いた下駄を、どうやって脱ぐのか見たかったのだ

カラカサは片方の腕を持ち上げると
掌をこちらに向けて振った
上がる気は無いらしい

上がりかまちに湯飲みを置くと
湯気の立つ湯飲みをジッと見ていた

カラカサ小僧は猫舌なのかも知れない

ソロソロと湯飲みをつかみ上げ
フーフーと息を吹きかけた

フーフーフーフーフーフー

やっと飲んだかと思えば
赤い舌をバタバタと振った

まだ熱かったらしい

カラカサは湯飲みを置くと
クルリと向こうを向き、ガラリと引き戸を開けた

「オイッ」と声を掛けると
半分向き直って片方の腕を上げた

「行くのかい」

カラカサ小僧は背中を向け

雨の止んだ夜の闇に消えた



あっ。傘買わなきゃ……

怖い

怖い話聞きたい

初めての街で学生生活が始まった
小さなアパートでの一人暮らしだ

生来のひどい人見知りで
友達も出来ず、アルバイトをするでもなく
ただ、学校とアパートを往復する日が続いていた……


彼女と初めて口を利いたのは、そんな二年目の梅雨の頃だった
書店で良く見掛けていた子で、ずっと気になっていた女の子だった

驚いた事に、彼女の方から声を掛けて来たのだ
さっそく携帯の番号を交換し、メールの遣り取りが始まった

朝のメールと夜の電話が毎日の日課になった
無味乾燥でモノクロームだった風景は
鮮やかな色彩に彩られた世界に一変した

仕送りを節約しては、二人で映画を見に行った
喫茶店で長話をした後でも夜の電話は欠かさなかった
よく話しが尽きないモノだと、我ながら感心したりした

その日、やっぱり映画を見た帰り
誘われて初めて彼女の部屋に入った

女の子にしては、随分とアッサリした部屋だった

見て来たばかりの映画の話をしながらも
僕はテーブルの上の彼女の携帯が気になっていた

「お菓子でも買ってくる」
そう言って彼女は財布だけを持って部屋を出た

テーブルには、彼女の携帯が残されていた
僕は我慢できずに彼女の携帯を手に取った

恐る恐る「着信履歴」を開くと
「僕からの着信履歴」がズラリと並んでいた
安堵感と罪悪感がゴチャ混ぜにやって来た

時計と玄関を交互に見た
彼女はまだ帰りそうに無い

今度は「発信履歴」を開いてみた

「彼女への発信履歴」がズラリと並んでいた……

視界がゆがみ、キリキリと頭が痛んだ

気が付くと
モノクロームの見慣れた部屋に僕は座っていた


う〜ん……
チョット無理が有りましたかね？

閲覧注意！！

妙な感覚の夢だった
モニターを見ているような
ゲームの中に取り込まれたような感覚だった

そう、夢なのだと気が付いても
自分ではドウする事も出来なかった

ただ歩いているダケなのだが
風景と身体と心がチグハグで
身体ダケが勝手に歩き続けるのだ

交差点や曲がり角では
周りの景色がグルリと正面に回り込んだ

気が付くと
数歩先を男が歩いていた
見覚えが有る様な、無いような後姿だ

先導されている。そう思った
途端に、恐怖がプクリと湧いた

やがて、大きな川へ突き当たった
川を渡るのだと言う事が解った
解ったが、橋は無かった

男は立ち止まり、後ろを窺った
脹らんだ恐怖に心が縮み上がった

男が川へ向き直ると
男の前に橋が有った

男はためらい無く渡り始めた

腹いっぱいに脹らんだ恐怖が「渡るな」と教える

言う事を聞かない身体を捻じ伏せて
何とか橋のたもとにしゃがみ込んだ

ポケットから車のキーを取り出すと
自分に言い聞かせるように
「渡るな」と橋の手摺りに刻んだ

中程まで進んでいた男がユックリと振り返った

——お前一人で行ってしまえ
そう心の中で叫んだ

すると、男は透き通るように消えてしまった

奇妙な夢だった


先日の事だ
久し振りの休暇を実家で過ごした
夜半から降り出した雪は、朝になっても酷くなるばかりだった

本格的に積もる前にと実家を出たのだが
街中を外れると路肩まで雪が積もっていた

県境の川まで来た時、思わず車を止めた
夢で見たあの橋が、ソコに在ったのだ

間違い無い、あの橋だった

車を降りて近付くと、古い鉄製の橋だった

手摺りには所々に赤茶けた錆が浮いていた

一瞬、身体が凍り付いた

その赤茶色の錆びは

確かに「渡るな」と読めた

この人完全な病気ですね。

まったく人の意見を聞かない人す張りあほです。

餅かわゆい。でもオバケこわくないぴよ〜〜〜〜〜(m--)m

女房が産気付いた

産婆、産婆だ……
小吉は草履を履くのももどかしく駆け出した

今度こそ。今度こそ
念仏の様に唱えながら小吉は走った

三人目の子である
前の二人が二人とも、ようやく歩き出した頃
突然姿を消した。居なくなったのだ

神隠しだと人々は言った
天狗の仕業だという人も居た

だが、ソウでは無い
それは小吉が一番良く知っていた



元々、小吉の身代は先妻の物である
旅に行き倒れた所を助けられ
娘一人老母一人の家へ婿に入ったのだ

娘は、醜かった

それでも、家を持てた喜びは大きかったし
娘には食うに困らない蓄えが残されていた

家は出来た。金も有る
やがて、義母は死んだ

そうなると
女房の醜さが我慢ならなくなった

小吉は、人知れず女房を殺した

数年後。後妻をもらった
小町と呼ばれた美しい娘だった

間も無く娘が生まれた
娘を見た人は皆、母親似の器量良しだと言った

だが小吉には、先妻の醜い顔にしか見えなかった

育つほど、声までも先妻に似て来る娘を、小吉は殺した

二人目も娘だった
前にも増して醜かった
小吉は二人目も殺した



今度こそ。今度こそ
子吉が産婆を背負って駆け戻ると
すでに陣痛が始まっているようだった

「間に合ったか。もう大丈夫だ」
女房のうなじには、ほつれた髪が汗で張り付いていた

女房は喘ぎながら小吉へと顔を向けた

向いた顔は、先妻の醜い顔だった
小吉の顔が凍り付いた

小吉はガクガクと振るえ出し、口の中で何かを呟いていた
呟きは叫び声になり、その眼は正気を失っていた

小吉は裸足のままヨロヨロと家を出た
それ切り、小吉を見た者は居ない……



怪談『累（かさね）ヶ淵』
を元に書いてみました

色んな都市伝説の元にもなった話です

あざっす(`･＿･´)

>>292
酒呑童子って実話ですか？

>>321サン
酒呑童子は、伝説ですネ
＃292のお話は、色々と伝わっている話を
かなり、アレンジして書いたものです

当時、何らかの反体制勢力が有った場合
妖怪や鬼などに例えられる事が有った様なので
何かしらの出来事が有ったとも考えられます

言い伝えでは
「大江山の鬼の首領」ですから
もしかしたら、大規模な山賊集団が居た
のかも知れませんネ！

「座敷ワラシ」

私の家には「座敷ワラシ」が居ます

初めて見たのは小学校に上がった頃でした
座敷の押入れの襖が少し開いていて
中から同じ年頃の女の子が此方を覗いていたのです

「アノ子は誰？」と聞いても
誰も取り合ってくれませんでした
家族にはその子が見えて無いようでした

私が他の家族と居る時は
障子の陰やドアの隙間から見ているだけで
皆の前に出て来る事は有りませんでしたが

私が一人になると
何時の間にかそばに来て居るのです
そんな時は、仲良く二人で遊びました

幼かった私にも
彼女が普通では無いと言う事は解りました

怖いと言うより、不思議な感じでした

小学校も高学年になる頃には
「座敷ワラシ」と言う言葉を知り

彼女が居れば、私は幸せになれる……
そう信じるようになっていました

事実、父の事業も順調で
何不自由の無い生活が送れていたので
なお更、彼女との時間を大事にしていました

私が大学進学の為に家を出る事になった時は
彼女が何処かへ行ってしまいそうで心配でした

もし彼女が居なくなれば
今の幸せが壊れてしまうかも知れないからです

誰かに彼女の事を託せれば良いのですが
家族は彼女の存在を知らないし
何より見えないのですから、どうし様も有りません

でも、杞憂でした
いつ家に戻っても、彼女はチャンと迎えてくれました



大学の先輩に妖怪や心霊に詳しい人が居たので
それと無く「座敷ワラシ」の事を聞いてみました

話を聞くに連れ
彼女が「座敷ワラシ」なのだと私は確信しました

ただ一つ……
「座敷ワラシ」はその名の通り
何時までも子供の姿のままだと言うのです

「座敷ワラシ」も様々のようです
何と言っても彼女は

私と同じ様に、成長しているのですから……

お邪魔します

朝から怖くなっちゃった・・・
有り難うございました(^_^;)))

煎餅久しぶりじゃん元気?

秋保のツルコバッタ ババー


旅人をイビリ殺す山姥伝説じゃよ。


バッタのような眉毛をしているよ。


家来に陰毛におおわれたばか犬悪腫がおる。

>>324-325
おはようございます
レスありがとうゴザイマス！

>>326
山姥伝説ですか
なんか、詳しく聞きたいような……

で
今回の本文は次レスです！

その男は
黒いニット帽を眉まで被っていた
浅黒くも、青白くも見える顔は
酷くカサ付いているのが遠目にも解った

落ち窪んだ眼は気色ばみ
忙しなく辺りを見回していた

俺の知り合いに
こんな危なそうな男は居ない筈だ
だが、その男の顔には確かに見覚えが有った


暫く振りに見る幼なじみは
スッカリ様子が変わっていた

向こうも気が付いたようだが
何故か避けるように背を向けると
頼り無い足取りで歩き出した

アキオ！
思わず名前を呼ぶと、肩がピクリと動いた
やはり人違いでは無い

路地裏で追い付いて呼び止めると
アキオはゆっくりと振り向いた
だがその視線はあらぬ方を飛び回っていた



アキオの家に不幸が続いたのは
一年以上も前だった

親父さんが急に亡くなり
お袋さんも入院したまま
家業は立ち行かなくなり
元気の良かった妹の姿も見なくなった

そしてアキオの妙な噂が飛び交った

イカレタらしい
分裂症らしい
何かの宗教らしい
兎に角、係るな……

だが噂だ
アキオに何があったのか
事実を知っている奴は誰も居なかった



アキオは身をよじる様に
唸り声とも悲鳴とも付かない声を漏らし続けている

——もう少しだ
そう聞こえたが、意味は解らない

その異様な光景に
脇の下を冷や汗が伝った

大丈夫か……
辛うじてそう声を掛けると

アキオはユックリと、正面から俺を見た
そして光を失った目をきつく閉じ
何度が身震いをした

眼を開けたアキオは
見た事も無い別人の顔をしていた

目の前の見知らぬ男は顔を歪めて笑った

——契約は完結した
——お前の知る男は、もう居ない

そう言うと、見知らぬ男はもう一度笑った

凶悪にも見えるその笑顔は
しかし悪魔の様に魅力的だった

長い文だな。

ある夜の猫又

月夜の晩はジッとしちゃ居られない
月が惑わすのは、何も人ばかりじゃ無いのさ

良い月が出てるねぇ
さて、月夜の散歩と行こうかね

そうだ
アイツはドウしてるかねぇ
一区画先に越して来た
あの恐ろしくミスボラシイ犬……


チャンとエサを貰って無いのか
痩せて、肋骨が浮いて
所々毛も抜けてたけど
洗ってもらった事も無いんだろうかねぇ
繫がれた切りで散歩に出た事も無って言ってた

始めて合った時に言ったモンさ
——お前さん、よくソレで我慢してるねぇ
「え？ナンか変すかネ？」

物心付いた時からアレなんだろうねぇ
まぁ、知らぬがナンとやらさね

そのくせ寂しがり屋で
話せる奴を見つけると、ヤタラと吠えてたねぇ
アタシんトコまで聞こえる位だった

そんなだから
吠える度に酷く折檻されてた……

——そらご覧な、やたらと吠えるんじゃないよ
「えへへ。誰か居ると、つい嬉しくって」

ソレが、ここ二日ばかりチッとも聞こえない
とうとう身体でも壊したかねぇ


おや、変だねぇ
犬小屋は有るけど、犬が居ないじゃ無いか
人間が引っ越したって事は無さそうだけど

ん。向かいの家から若い雄猫が出てきたよ

——ねぇちょいと、ここの犬はドウしたんだい
「……アイツ、死んだよ」

一昨日の晩
この雄猫を見つけて吠えたらしい

「そんなに吠えると、また折檻されるぞって言ったのに」

飼い主が、何かを投げた様だったと言った

ミスボラシイ犬は吠えるのを止めた
見ると、大人しく寝ているように見えたそうだ

「ソレっ切りだったよ。オレの所為じゃねぇよ」

何てぇ事だろうねぇ
仮にも飼い犬だよ
何の為に飼ってたって言うんだい
まったく、人間ってヤツは……

あぁ、嫌な世の中になったモンさね

ハンネ忘れました
>>330は私です！

傾国の美女と言われる「妲己（だっき）」

殷王朝の紂王（ちゅうおう）の寵愛を一身に受け
淫蕩と享楽の限りを尽くした
歓楽に耽る為の費用はまさに国を傾ける程

見かねて諌言に及ぶ忠臣は尽く退け、殺した
その行状は残虐非道を極めたため
賢人は居なくなり、人心は離れた

大国「殷」は
次第に弱体化して行った

今こそ暴政を討つ好機と
周の姫昌（きしょう）が姜子牙（太公望）を軍師に得て起つが
道半ばで病に倒れてしまう

その後、姫昌の子の「姫発（きはつ）」が数年がかりで殷打倒を果たす

周軍ばかりか味方からも刃を向けられた紂王は
自ら宮殿に火を放ち、炎の中に身を投げた

殷は滅亡した

妲己は暴政の元凶とされ
見せしめとする為に刑場へ引き出された

刑場で妲己を待ち受けていたのは
姫発の弟「姫旦」だった


「姫旦様。私はお役目を果たしました。ご命令通りに紂王を堕落させ、有能な家臣は尽く殺しました。全ては、祖国「周」が殷を討つ為。私は周にこの身を捧げたのです。それなのに貴方は、汚名を着せたまま私を殺すと言われるのか」

「死ぬまでがお前の役目だ」

姫旦は躊躇いも無く長刀を振り下ろした

甲高い悲鳴とともに妲己の首が飛んだ……



妲己の魂は刑場の上に留まり
我が首が転がるのを見下ろしていた

魂は、やり場の無い憤怒に身もだえし
怒りと憎しみは、全ての人へと向けられた

「醜い人の世など、我が地獄となさん」

魂は空を駆け、異国の空へと飛び去った
その姿は、九本の尾を翻す金色の狐だった

その後
金色に光る「九尾の狐」はインドへと渡り

とうとう日本へとやって来ます

日本での名は玉藻前……


九尾の狐は
実はこうして生まれた
のかも知れない……？

と言うお話でした

長文乙

私には霊感が無い
霊の存在など元から信じて無いし、幽霊などこの世に居る訳は無いのだ

例えば今この場所で
その昔にドンナに無残な死に方をした人が居ようと、ドレだけ怨みを抱いて自ら命を絶った人が居ようと、ソレは私とは何の関係も無い事で

仮に幽霊が居たとして
私とは縁もゆかりも無い、ドコの誰でいつ死んだのかも解らない人の幽霊に「うらめしや…」と出て来られても

コレはもう迷惑なダケだし、只のイヤガラセでしか無いのだ

それに、だ
死んでもなお留まる程の怨念、と言うのか残念と言うのか……
そう言うモノが有ったとして、ソレを私に訴えた所で何になると言うのだ？

私に出来る事といえば「なんまんだ…」と念仏の真似事でも唱えるのが関の山で

坊さんの知り合いでも居ればチャンとした御経を上げてもらう事も出来るが、残念ながらそんな知り合いも居ない

だから……
私ンとこへ出て来ても何の意味も無いと思うんだけど……



窓の外にボウッと浮かぶモノは、確かに人の上半身だった
ココはアパートの二階
窓の下は駐車場の筈だ

カーテンを閉めようとして気がついたのだ
生きた人では無いと言う事はすぐに解ったが、幽霊などは居ない訳で

なら、何だ？

目が合ってしまった

私はソイツと目が合ったまま、静かにカーテンを閉めた
ともあれ、見えなきゃ居ないのと同じ事だし、何かの見間違いに決っている

が、気になる……

恐る恐るカーテンの隙間から覗いてみた

ギョッとした。ソイツは、すぐ目と鼻の先まで来ていた
慌てて窓のロックを確認してカーテンをシッカリと閉め直した

有り得ない、こんな事は有り得ない……

その時
コツコツと窓ガラスを叩く音がした

身体が凍りつき、思考が止まった

コツコツ……コツコツ…