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国士舘4番黒沢「親子打撃物語」決勝犠飛につなげる
<甲子園高校野球交流試合:国士舘4−3磐城>◇15日◇甲子園
国士舘の4番黒沢孟朗一塁手(3年)の“親子打撃物語”は勝利で幕を閉じた。同点の6回無死二塁、磐城・沖から自身甲子園初安打の左前打。スタンドで父精一さん(49)が見守る中、決勝犠飛につなげた。「思い切り自分のスイングができました」。ゴルフのようなダウンスイングで捉えた打球を、大粒の汗をたらし振り返った。
代名詞のフォームではなかった。以前は西武森を参考に、極端に重心を下げて打っていた。石川での中学時代、父と二人三脚で身につけたもの。だが、コロナ自粛中、先を見据えて木製バットを振り過ぎ、バランスを崩した。再び父と連日2時間の素振り。西東京大会から重心を上げた。
父から前日「最後まで楽しんでやれ」と激励された。入学と同時期に上京してくれ一緒に暮らす。昨春センバツ開幕前に柔道の授業で左足首骨折。入院中は毎日おにぎり作って持って来てくれた。おかげで大会は間に合うも、無安打だった。今回「甲子園で1発かちこみたい」と記念球を贈る気で臨んだ。1発を狙った8回の最終打席は見逃し三振。少し悔やんだが「去年はあっという間。今日は甲子園を感じられました」と楽しめた。髪形自由のチームで短髪を貫く。侍のような鋭い視線を緩め、バットを収めた。